若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
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勉強できる場所を探す
~新しい法律が動きだしています~
工藤 啓(くどう・けい)
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新しい学校、新しい学年、新しいクラスメートと、環境が大きく変わってから一か月が経ちました。環境の変化に慣れ、新しい学校生活を楽しんでいるひともいるでしょうし、なかなか慣れずに悩んでいるひともいるでしょう。
学校に行くことができなかったり、辞めようかどうか迷ってしまったりしている時期かもしれません。いろいろな調査を見てみると、学校生活に馴染めないことや、勉強についていけないことを理由にしているひとが多いです。
今年の4月1日から「生活困窮者自立支援法」という新しい法律に基づいて、全国で困っているひとたちのための支援が始まっています。法律の名前だけを見てもピンと来ないかもしれませんが、その支援事業のなかに小中学生や高校生が使うことのできる支援もあります。
内容はこちらの「政府広報オンライン」に書いてあります。そこに「どのような支援があるの?」という項目に勉強や進学、友人関係の悩みなどについて支援することが明記されています。
政府広報オンライン
「様々な事情で暮らしにお困りの方のための相談窓口ができます!」
(抜粋)
「子どもの学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、仲間との出会い活動ができる居場所づくり、進学に関する支援、高校中退の防止支援などをします。また、子どもの進学について保護者に助言するなど、子どもと保護者の双方に対して必要な支援を行います。」
勉強でわからないことがあったり、家庭の事情で塾に通うことができなかったりする子どもたちに、大学生や大人が勉強を見てくれます。また、勉強だけではなく、学校生活を含む日常の悩みを解決してくれます。
もし、勉強や進学、日常生活で困っていることがあれば、うまく活用してください。ただ、残念ながらすべての市区町村が学習支援を行っているわけではないため、地元の役所に問い合わせるか、インターネットで「生活困窮者自立支援法」「学習」「○○市」などのキーワードで検索をかけてみてください。本当に少しずつかもしれませんが、勉強したい、学びたいひとたちのために大人社会も努力を重ねています。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか