そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

79-2

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勉強できる場所を探す
~勉強しているひとたちに囲まれよう~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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私は時々ジョギングをします。昨年、大阪でフルマラソンの大会に出たことをきっかけに、日常的に運動をするようになりました。これまではサッカーやフットサルを少しやっていたのですが、仕事が忙しくなったり、子育てがあり人数が集まりづらくなったので、一人でできるジョギングがよいだろうと考えました。

しかし、もともと「ただ走る」というのが苦手なため、「週二回は走ろう」と目標を立てても、なんとなく自分に言い訳をして、「今日、走らなくてもいい理由」を心の中で作ります。誰からも強制されていないにもかかわらず、走らない理由を探すのです。恥ずかしい話ですが。

目標を立てているときは気持ちがたかぶっているのですが、いざ、走ることや勉強をする間際になると躊躇してしまうことはよくあることです。一緒に勉強する友人がいつもいればいいのですが、忙しい学校生活のなかでなかなか時間は合いません。そんなときにおススメなのは、友人でも知人でもないけれど、一生懸命調べものや勉強をしているひとたちがいる場に自らを投じてみるということです。

私のジョギングで言うと、走りやすい場所にはたいてい走っているひとがいます。とにかくその場所まで行くと、自然と足が動きます。走っているひとたちのいる環境や雰囲気が、私の背中を押すのです。

勉強も同じです。自ら勉強できるひとはよいのですが、なかなか教科書を開くことができないとき、とりあえず勉強道具を持って近くの図書館や公民館に行ってみる。同世代ではなくても、資格取得を目指しているビジネスパーソンや、調べ物をしているシニアの方々がいるでしょう。空いている机を見つけて座ってみましょう。きっと自宅や自室の机に向かっているときとは違った感覚になります。

もちろん、それでも教科書を開く気がしないこともあります。そんなときは、適当に館内を歩き回り、書架に並んでいる書籍を眺めてみると、興味のある書籍が見つかるかもしれません。それをパラパラめくってみる。教科書を開き、問題を解くだけが勉強ではありません。たくさんの書物や活字に触れることは、学校の勉強と直接つながらなくとも、小さくない学びの機会を持ったことになります。宿題をするにせよ、書籍を読むにせよ、勉強に手がつかないときには、勉強をしているひとたちが集う場の力を借りるというのはいかがでしょうか。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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