そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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新学期を気持ちよく過ごすために
~少しだけ悩みや不安も共有しよう~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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2015年8月12日の朝日新聞に「子どもの自殺、9月1日最多 夏・春休みの終わりに集中」という記事が出て、インターネット上を駆け巡りました。

過去42年間で、自ら命を落とした2万人近い子どもたちを調べたところ、4月と9月の始めがとても多いことがわかったというものです。少し記事内容を抜粋します。

(抜粋)
内閣府によると、大学生も含めた学生・生徒の自殺数は14年の1年間に866人で、このところ減少傾向にある。大学生が428人を占め、専修学校生など109人、高校生213人、中学生99人、小学生17人。原因別では、小中学生は「家族からのしつけ・叱責(しっせき)」「学校の友人との不和」が目立ち、高校生になると「学業不振」「進路に関する悩み」が増える。
(出典:朝日新聞デジタル〔2015年8月12日〕より)

特に夏休みは、普段は毎日学校で会っている友人らとも長く会わないことも少なくないと思います。もちろん、LINEなどでやり取りはしていると思いますが、声のトーンや表情などは見えません。お祭りや旅行などの楽しい経験、予備校での集中講義など、共通点の多い情報はタイムラインにあがっても共有しやすいでしょう。

しかし、家庭や友人関係、進路の悩みなど、学校が休みだからこそ気軽に相談する場がなく、ひとりで抱えやすいこともあると思います。新学期となり、何気ない会話の中で夏の間に経験したことが出る時期でもあります。そんなとき、友だちの言葉や表情などにちょっとだけでも違和感を持ったとき、二人きりの時間を作り、改めて「夏休みどうだった?」と声をかけてみてはどうでしょうか。

何となく「おせっかい」で、「他人のことに口出ししている」ようですが、その一言が、友だちの不安や悩みをひとりで抱えさせないきっかけになるかもしれません。語り継がれる伝説ではなく、ちょっとした勇気と行動の積み重ねがお互いの仲を深め、支え合える土壌を作るのだと思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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