そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

100-1

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選挙に向けて
~いろいろなひとの選挙論を眺めてみる~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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ネットでも、テレビでも、10月22日に予定されている衆議院議員総選挙の話が流れています。日本では18歳から選挙で投票できるようになりましたので、初めて自分の一票を「このひとだ」という候補者に入れるひともたくさんいるでしょう。

いろいろな政党の話。どこの誰が立候補するのか。自分が投票できる候補者は誰で、そのひとが私たちの未来をどう変えようとしているのか。そんな自分が知りたい情報を探そうとしても、難しい言葉も多くてよくわからなくなってしまう。そんなひともいるかもしれません。

自分が住んでいる街の選挙であれば、選挙カーから「〇〇に清き一票をよろしくお願いします!」で名前を聞いたり、壁に貼ってあるポスターで“お馴染みの”ひとがいるかもしれません。しかし、今回は国会議員を選ぶ選挙なので、一部テレビなどによく出ていれば別ですが、それ以外の候補者についてまったく知らないということもあるでしょう。

それで嫌になって「投票しないかも」と考えるひともいるかもしれませんが、投票権は私たちが日本や地域の未来を“自ら選ぶ”ことのできる大切な権利ですから、投票には行ってほしいです(選挙投票日に忙しいのであれば、期日前に投票もできますのでネットで検索してみてください)。

いまはテレビや新聞だけでなく、Twitterでもたくさんのひとが選挙について論じています。難しい言葉が並んでいることもありますが、絵や図を使ってわかりやすく解説していることもあります。選挙に限りませんが、何か情報を取りに行くときにはバランスが大切です。

「Aが素晴らしい」
「Bが素晴らしい」
「AもBも素晴らしい」
「AもBもだめ」

これは非常にシンプルですが、選挙では候補者それぞれが「私はこういう考えで、こういう未来を創ります」と宣言しています。ある候補者が掲げているすべてのことに賛同できなくとも、「少なくともこの候補者のここは賛成できる」ということもありますし、「だいたい賛成だけれど、ここの部分をそう考えるひとには投票できない」という判断もあり得ます。それは政党も同じです。この候補者を応援したいが、この政党は支持できないということも出てくるでしょう。

そのときに少しだけ見てほしいのが、自分はまったく理解、賛同できない候補者を応援しているひとがいる。それはなぜなのだろうか、という部分です。選挙は投票権を持つすべてのひとが参加することができます。自分の周りではみんな「Aさんがいいよね」と言っていても、投票箱を開けてみたら圧倒的に「Bさん」が支持されていることもあります。

これは自分の友人などの情報だけをフォローしていると、同じような考えや価値観になりがちですので、選挙期間中限定でもいいので、意図的に自分とは異なる意見を持つ識者などをフォローしてほしいです。

自分が投票した結果を見るだけでなく、投票日前にさまざまな選挙にかかる意見や議論に触れてみることで、次の選挙で自分はどのようにして政党や候補者を選んでいくのかを改めて考えるきっかけになると思いますので、ぜひ、こういう機会に少しでも選挙に関する情報に触れていただきたいと思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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