そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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大切なのはポジショニング
~前編~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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中学、高校時代、私はずっとサッカー部でした。当時、顧問の先生からよく叱られたのは“ポジショニング”が悪いということでした。自分が任された役割を全うするためには、ボールと対戦相手、そして味方の位置を把握し、的確な“位置取り”をしなければなりません。私はどうもこれが苦手でした。

このときポジショニングに気を使わなければならなかったのは、あくまでも、サッカーにおいて勝つために必要なことだったからです。しかし最近では、サッカーや野球などスポーツ以外でも、ポジショニングが大切になっているようです。たとえば、教室や職場の人間関係を円滑にするうえで、ポジショニングは欠かせない要素なのです。

先日、ある学生と話をしているとき、「工藤さんはポジション取りが上手いですね」と言われました。何のことかわからないでいると、私は場の人間関係を的確に把握し、その場が盛り上がるように立ち振る舞うことが上手いのだそうです。

そのようなことを意識してやっているわけではないと伝えると、それは天性の才能だと言われました。彼は、ある場に集う人間の年齢や性別、関係性を常に意識しながら、自分が取るべき行動、演じるべき“キャラ”を常に意識していると言います。そのようなことを意識する必要性があるのでしょうか。

彼に聞くと、皆、小学校時代からポジショニングは意識しているはずだと言います。とくに難しいのは、クラス替え、小学校から中学校などに進級する際に生まれる、新たな環境で自分がどのような位置取りをしていくべきかを見極めるときだそうです。

リーダーシップを取っていたものがいじられ役に変わったり、場を盛り上げるためにボケ役であったものが、つっこみ役に変わったりと、環境が変われば役割も変化するといいます。

まったく理解できない人もいるかもしれません。しかし、会社組織を考えてみると、役職に応じて思考や行動の変革が求められるのは日常茶飯事です。課長と部長では任される業務内容は当然違ってくるからです。ただ、驚いたのは、それが組織ではなく、学齢期の教室内などでも求められているということです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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