そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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つまずかない大学選びのルール
~100人中、69人はうまくいかない~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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僕は大学を中退しました。それはどうしてもアメリカに留学したくなったからです。夏休みに素晴らしい出会いがあり、アメリカのシアトルという街にいる仲間と一緒に人生を過ごしたくて、過ごしたくて、大学を辞める選択をしました。

自分としてはすごく前向きに中退を決意しました。しかし、不本意に中退するひともいます。ここで大学進学を考えるひとや、保護者や先生など相談に乗ることがあるひとに一冊の書籍をご紹介します。

「つまずかない大学選びのルール」(ディスカヴァートゥエンティワン)

著者は友人であるNPO法人NEWVERYの理事長である山本繁さんです。大学生や大学のことについて研究されています。書籍のなかにこんな文章があります。

●もし大学が100人の村だったら

これは大学の新入生が100人いたとしたら、その後の進路がどうなっているかをわかりやすく説明しています。いまの日本では100人の大学新入生がいたら、12人が卒業までに中退します。13人はどこかの学年で留年しています。その他の75人のうち、卒業後に大学院や専門学校などに進学するのが9人。

 さらに、卒業しても就職できないひとが21人いて、残りの45人は就職できますが、就職した会社で3年間働き続けるのは45人のうち31人だけです。大学に進学して、卒業したら“フツー”に働くものだと思ってませんか? 実際に100人の大学生のうち、それを実現できるのは31人だけです。

耳を疑うような話かもしれませんが、これがいまの日本の大学生を取り巻く状況です。ここでは大学をテーマに情報をまとめられていますが、短大や専門学校、留学や就職など、すべての進路においてしっかりと自分で調べる。実際に体感してみた上で選択をすることが“つまずかない”ための重要な行動になります。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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