そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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もし自分だったらどうする?
~選挙権があったら誰に投票しますか~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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「これから先の時代を生き抜いていくために必要な力とは何か」という問いに対して、リーダーシップ、コミュニケーション能力、物事を論理的に考える力などが挙げられます。情報やデータを扱う力やプログラミングの技術と答えるひともいます。思いやりや共感能力が大切であるという意見もあります。もちろん、言うまでもなくどれも重要な力です。今回は「想像力」について考えてみたいと思います。

この原稿は高校生に向けて書いているため、12月14日に投開票が行われる第47回衆議院議員選挙に投票ができるひとはほとんどいないと思います。この原稿が掲載されるときにはすでに結果が出ていると思いますが、これまでにないほど国民の関心を集めていないと言われています。

有権者ですら関心が薄いのですから、選挙権を持っていない高校生が強く興味を持って選挙について情報を獲得したり、友人と議論したりするのは稀ではないでしょうか。

私の友人は、「未成年模擬選挙」(//www.mogisenkyo.com/)という取り組みを行っています。いまは選挙権のない未成年者を未来の有権者と捉え直し、少しでも政治や選挙に関心を持ってもらうと言うものです。

もし自分が有権者であったらどうしますか。自分が住んでいる地域の立候補者の誰に、どのような理由で投票しますか。あなたの大切な一票に何を託しますか。私の周囲にも選挙に関心がある友人とそうでない友人がいます。前者の友人とはいろいろ意見交換をします。後者の友人には、日本社会の未来を考えてもいいし、家族や子どもの生活を豊かにするためでもいいので、とにかく投票に行こうと誘います。

20歳になり実際に投票が可能になってから政治や選挙について真剣に考えるひともたくさんいると思いますが、私の周囲を見回すと、普段から身近なことや、今回の選挙のように国を左右することまで、「もし自分だったらどうするだろうか」と想像力を働かせているひとが熱心に考えたり、情報を交換しているように感じます。20歳になっていきなり性格や行動が変わったというようには見えません。

さて、今回の選挙に投票することのできないみなさんはいかがでしょうか。自分ひとりで、または、友人や家族、先生や身近な大人と選挙について少しでも話したり、考えたりしたでしょうか。現時点では結果がわかりませんが、今回の選挙は過去に例のないほど投票する有権者が少なくなるのではと言われています。国の行く末を決めることに参加しない大人がこれだけたくさんいる国を想像してみてください。きっとみなさんは投票所に向かう有権者になろうと思うはずです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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