そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

88-1

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健康を考える
~急激な体調変化のない病気~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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学校で身体測定、健康診断を受けると思います。一年に一度くらいでしょうか。私は身長が低くて、毎年の身体測定が楽しみであり、嫌でした。いまでも記憶に残っているのが中学一年生になったときの身長測定が139.6cmだったことです。明らかに周囲よりも背が低いのに、140cmに届いていない事実に大きく落胆しました。中学、高校を通じて身長は伸びましたが、小さかった時代が長いので身長測定にはあまりいい思い出がありません。

私は、若者の就労支援を行っています。就職活動がうまくいかずに自信を失っていたり、仕事が長続きせずに悩んでいたりと、さまざまな事情で働けない若者が相談に来ます。最近では、心の病気にかかっているひとも増えており、「こころの相談」に訪れる若者も増えています。

現在、病気や怪我を抱えているのであれば、まずは治療を最優先にしなければなりません。身体の具合が悪いままに働いても続けることが難しいからです。しかし、自分の身体の健康度は、あきらかに体調が悪くなければ、知りようがありません。特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、風邪のように体調に変化がすぐ出るわけではなく、その名の通り、毎日の生活習慣の積み重ねの結果、徐々に進行していきます。

せっかく働き先が見つかっても、知らない間に身体の状態が悪くなっていたらどうでしょうか。病気の発症とともに、働くことは日常生活が難しくなるかもしれません。それであれば、一定の周期で自分の健康をチェックした方がいいと思いませんか。

しかし、学校を卒業すると健康チェックの機会は減ります。働く先の企業が従業員に行うこともありますが、すべての従業員がそれを受けられるわけではありません。では、会社で健康チェックの機会がなかったり、会社という場所に所属していないときはどうでしょうか。

先日、ケアプロ株式会社という自分で健康をチェックできるサービスを提供しているひとたちに来ていただき、お話を伺いました。日本では、自ら進んで健康チェックをしない限り、あまり自分の身体の状態を客観的に確認できる機会は少ないそうです(40歳以上になると機会があったりします)。

生活習慣病について触れましたが、毎日の運動、ストレス、食生活などの積み重ねの結果として発症する病気は、自覚症状のない時期に意識することがありません。そして自覚したときは病気になっているときです。「もっと早く知っていたら…」と思いながら、お医者さんから自分の病気について聞くのは非常に残念なことです。

いま健康診断がある学校などを卒業した後、自分の健康状態を確認するのは自分自身になります。健康診断が向こうから歩いてこないこともあります。「予防医療」という言葉がありますが、身体の不調を感じてから病院で診断を受け、治療をしていくよりも、一年に一度でも、数年に一度でもいいので、自分の健康度を計り、生活習慣のなかで改善できるものは、できる範囲から地道に取り組んでいくこと予防的な行動を心掛け、健康な生活を送りたいものです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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