そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

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わかってくれないとわからない
~親とSNS~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

2018年8月29日、無料で写真や動画を共有できるInstagram(インスタ)社が、『保護者のためのInstagramガイド』を発表しました。私が代表を務める認定NPO法人育て上げネットもガイド作成にかかわらせていただき、その発表イベントに出席してきました。

子どもはどうしてInstagramが大好きなの? SNSトラブルを回避するには?
Instagramが保護者の疑問にこたえるガイドブック
(マイナビニュース)

Instagramに限らず、さまざまなアプリを使うにあたって、親と意見がぶつかることがあるかもしれません。親は子どもがトラブルに巻き込まれないか純粋に心配をしています。私も親なので気持ちはよくわかります。

みなさんは親がどんなことを心配しているのかわかりますか。このガイドには「保護者からの質問TOP5」などもあり、子どもたちがSNSを使うとき、どのようなことを心配しているのかがよくわかります。

イベントでは、親はいろいろ心配しているけれど、実際にInstagramを使ったことがないのではないかという話になりました。多少なりとも使ってみればどんなものかわかりますし、過剰な心配をせずにすむかもしれません。人間は自分がわからないものに不安を抱くものです。得体のしれないものから自分の身を守ろうとするのは自然な反応です。

自分が想像できないものを大切な子どもが使っているとなれば、自分のこと以上に心配しますし、子どもが事件や事故に巻き込まれたと聞けば、わが子には使ってほしくないと思うものです。

このような前提を理解しておくと、「親は全然わかってない」と感情的にぶつからなくても済みそうです。何でもそうですが、自分と自分の周りが当然のように使っているものでも、そこにいない人間にとっては、それが安全なのかどうかわからないのです。

そんな摩擦を回避するためには、今回のような保護者向けのガイドがあれば、「これを読んでほしい」と伝えてあげてください。また、みなさん自身もそれに目を通して、親が心配していることがどんなものかを知ることも大切です。そうすれば、親からネガティブな意見や疑問が来ても、「自分はリスクを把握し、このように使っているから安心してほしい」と伝えることができます。

親子間のコミュニケーションでは、とかく「わかってくれない」となりがちですが、もしかしたら、その「わかってくれない」と思っているうちのいくつかは、そもそも「わからない」のかもしれません。もちろん、親がみなさんのことを深く理解する努力も必要ですが、みなさんからも、わからないことを理解できるよう丁寧なコミュニケーションを取ってみてもいいのではないでしょうか。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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