そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

109-2

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わかってくれないとわからない
~親と進路~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

中学校や高校を卒業した後、どうするのか。進路について親とぶつかることもあるでしょう。私は高校時代、卒業したら働きたいと思っていた時期がありました。進学するより、早く社会に出た方が活躍できそうだ、という根拠もない考えを持っていました。

その話を自宅でしたとき、これまで私のやりたいことや進路について一度も口を挟んだことのない父親から、「どこでもいいから進学して、広い世界を見た方がいい。辞めてもいい。自由度の高い時間を持ってみるのは大事だ」といったような言葉をもらいました。突然父親が進路について持論を語ったのですごく驚きました。

それまでは学校に通い、部活をして帰宅することの繰り返しで、土日の多くも部活動に時間を使っていました。中学も高校もそういう生活だったので、学校以外の世界に触れる機会が極端に少なかった私に対し、視野を広げる助言でした。

みなさんは希望する進路は固まっていますでしょうか。まだ考えている、迷っているひともいると思いますが、できるだけ早い段階で希望を伝えてみることを進めます。例えば、大学進学希望であれば、入学から四年間で相応のお金がかかります。子どもの希望がわかれば、資金の準備をしたり、全部を用意するのが難しいときは奨学金の活用を一緒に考えることもできます。

また、みなさんが学びたい学問についてすぐ親が理解できるとも限りません。最近では、e-sportsという言葉も広がりを見せ、プロゲーマーという職業も生まれました。しかし、親世代にとってはゲームでプロになれることが想像できない、わからないかもしれません。もちろん、誰もがプロゲーマーになれるわけではありませんが、現代の新しい職業のひとつだと認識できれば全面的に応援してくれるかもしれません。

私もそうですが、子どもの進路を考えるとき、どうしても自分がその年齢であったときの経験から考えがちです。しかし、20年も、30年も前のことなので、当時の経験が生きないことの方が多いでしょう。新しいことを頭で理解し、納得するには時間がかかります。そのため、進路についてギリギリになって希望を打ち明けるよりも、早い段階でいろいろな可能性を言葉にするなかで、「わからない」ことを理解する時間を作ることができます。

希望進路について「わかってくれない」という裏側には、「わからない」を「わかる」にする時間が必要なだけのこともあります。親と進路について話をすることは後回しになりがちですが、むしろ、一番の理解者、応援者になってくれるかもしれませんので、しっかりと早めに話をするようにしてください。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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