そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

111-2

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動き出す高校生
~「意識が高い」の揶揄を飛び越える~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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高校生時代、言葉として「意識が高い」という表現はありふれていなかったと記憶しています。ただ、少しだけ中学生や高校生が日常的に話をする話題を飛び越えたとき、周囲の反応を見て「言わなければよかったかも…」と思ったことは何度もあります。

それは別に意識の高さをアピールするわけでもなく、学校とは別の世界で当たり前のように、さまざまな世代のひとたちと話していること。それを学校というコミュニティに持ち込んだとき、少なからず違和感を持ったひとがいたというだけのことです。

ただ、それを半ば嘲笑されたり、不快感を示されたりすると、ちょっと凹むこともあります。そんなとき、自分の気持ちを受け止めてくれる友人や知人(大人)がいてくれたのは、私にとって大きな助けとなりました。

最近、連続起業家でエンジェル投資家の家入一真さんが「やさしいかくめいラボ」というものを立ち上げました。それは若いひとが議論できる場がSNSの中であまりないことから、オンラインサロンという形のコミュニティ(場所)を作られました。

私も「メンター」という立場で、コミュニティを眺めては高校生を含む、10代や20代前半の1,500名を超える若者が、さまざまなアイディアや雑談をしているのを眺めています。テーマカテゴリーには、起業やプロダクト開発、ファイナンスについて、10代でそんなことを学ばれようとしているのか、というものもあります。人生相談とか仲間を募集するようなものもあります。

参加している若者たちがどのような日常生活を送っているのかはわかりません。しかし、もしかしたら学校では語りづらいことがあっても、この安全と安心が担保されている場であればと、ハツラツとして発言しているのかもしれません。

少し突飛な、または、夢的に見受けられる想いや発言を「意識が高い」と見なすひとたちがいる一方で、そのような高校生や若者の才能や可能性に貢献したいひとたちもいます。自分が面白いと思うこと、やってみたい・作ってみたいというものがあったとき、その感情をポジティブに受け止めてくれるコミュニティ(場)が少なからず存在するということを高校生にはお伝えしたいです。

※オンライン、オフラインに限らず、すべてが良質のものであるかどうか。また、みなさんにとってマッチする場かどうかはわかりません。実際に参加したいと思ったときも、一呼吸を置いて、そこが安全な場であるかどうか必ず確認してください。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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