そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

113-2

113-2
大学生になる前に
~自分の未来を話す機会を~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

時々、高校生から面会依頼を受けます。育て上げネットは、働くことに不安を感じていたり、困っていることがある若者を支援する団体ですので、そのような相談なのかなと思います。もちろん、悩みや不安について相談したい高校生もいるのですが、そうでない高校生もいるのです。

ある高校生は、将来は困っているひとを助ける仕事がしたい。できれば自分でNPOを立ち上げてみたい。しかし、実際にNPOで稼ぐことができるのか、生活が成り立つのかわからないので直接聞きにきましたと言うのです。

私たちはずいぶんゆっくり時間を取って話をしました。まだ知識も限られていますので、例えば、初めからNPOに決めなくてもいいし、何か本業の傍らひとの役に立つことをする選択肢もあるということや、NPOと株式会社は何が違って、どのあたりは同じなのか。

別の高校生は、自分が生まれ育った街をよくしたい。たくさんのひとに街の良さを知ってもらうために何かしたいと打ち明けてくれました。テクノロジーを使うとか、映像や写真を使うとか、たくさんのアイディアを持っていました。

しかし、別のことにも興味があると言います。それは途上国で生きることにも苦しんでいる子どもたちのためになる働き方を考えていました。どちらも素晴らしいことです。残念ながらどちらも私自身に経験がないため、似たようなことを実践している友人を紹介しました。

傍で聞けば、どちらも漠然とした話に聞こえますし、具体性には乏しいかもしれません。ただ、こちらが投げかけた質問の回答を考えるなかで、自分の心の深いところにタッチできたり、もっと異なる未来を思い描いたりする姿がそこにはありました。

自分の将来や未来について真剣に話し合える家族や友人がいるのは幸せなことです。そして、仮にそういった大切な存在がいても、いなくても、普段は話をすることのないひとに自分の想いを打ち明けてみる機会を作ること。それは、おそらく、ご自身が想像する以上にたくさんの学びや気づきがあるでしょう。

もうすぐ新たな環境に飛び出す方も、1・2年後に高校を卒業される方も、高校時代に、高校時代だからこそ、漠然としていても脳裏に描く未来について話をする機会を作ってほしいです。それだけで残りの高校生活が違ったものになってくると思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

新着記事 New Articles