そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

115-2

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だからこそ、相談を
~身近に相談できないことは~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

「何かあればいつでも相談して」。私もよく使う言葉です。どれだけ役に立てるかはわからないですが、ひとりで悩みこむよりは、私自身が鏡の役割として話を聞くことで、相手の考えが整理されたり、言語化できたり、気持ちが楽になる。そういうお手伝いくらいはできるかもしれませんので。

困ったときは身近なひとに相談することが大半だと思います。ただ、家族や友人には相談しづらいことというのも存在します。こんな話をしたら引かれてしまうかもしれない、予想外の反応されることが怖い。そこから他のひとに伝わるのが不安。理由はいろいろあるでしょう。

特に家族の問題は、近しいひとに相談しづらいことのひとつではないかと思います。最近のニュースでも、「なんで早いタイミングで助けを求められなかったのか、公的な相談機関もあるのに」と思うことが少なくありません。それでも身内のことは身内で解決したい気持ちが、抱え込んでしまうことにつながってしまうこともあります。

みなさんは、身近なひとには相談しづらい、できれば知られないままで解決したいという悩みを持ったことはあるでしょうか。育て上げネットでは、年間約100校の高校で授業をしています。そのなかに、いまは身近でない「困りごと」と、その困りごとを解決できる「相談先」をゲーム形式で学ぶ講座を持っています。

この講座が意外と人気です。なぜかと言えば、困りごとは想像できても、「では、どこに相談できるのか」を学ぶ機会は限られているからです。何か法律的な問題に直面したとき、公的機関で法律家に相談できる場所を知っていたら、探すことや選ぶことに時間を使うことがなくなります。
「日本司法支援センター 法テラス」という国が設立した法的トラブル解決の総合案内所があります。

身近に相談しづらいことは、「身近でない」ひとや相談機関が助けになります。いつでも、なんでも相談できるひとが周囲にいると安心ですが、そのひとたちに相談することが難しいとき、身近でない相談先を知っていることはより強い安心感につながります。

困ったら、相談を。しかし、困ってからではなく、困る前に少しでも安心できる相談先を知っておくということが、備えるということだと思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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