そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

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子ども食堂について
~子ども食堂に友達と行ってみよう~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

お互いの家庭のこととかあまり知らないですよね。よほど行き来すれば何となく生活感がわかるかもしれませんが、勉強や部活、アルバイトなどで忙しいとなかなかそういう時間も取れないかもしれません。

子ども食堂は、食べることに困っていたり、家でひとりご飯を食べることが寂しい、という子どもたちのためにも作られています。ただ、高校生になると「じゃあ、子ども食堂に行こう!」とはなりづらいかもしれません。ひとりで食事することもさほど苦ではないかもしれませんし、「子ども」という言葉が自分の年齢を含んでないと感じることもあるでしょう。

ただ、子ども食堂は困っているひとの食事の場というだけではなく、ひとがつながりあい、交流する機能も持っています。そこに行けば、普段は話をしない多様なひとたちとの出会いが生まれますし、何もしなくてもいていい空間でもあります。

毎日、自宅に帰れば温かい食事が準備されていたり、特に悩みや困りごとがないひとにとっては無関係な場所かもしれません。しかし、お互いの家庭事情を知らないなかで、みなさんの傍にいる友達は、もしかしたら、子ども食堂を必要としている状況や環境にあるかもしれません。

ひとは困っていればいるほど、誰かに助けを求めることができなくなります。こんなことを相談したらどう思われるだろうか。大した悩みではないと笑われたらどうしょう。そう考えこんでしまうんですね。

本当にそうなのかは本人以外、誰にもわかりません。しかし、特に困ってなければそれでいいですし、悩みがないのも悪いことではありません。仮にみなさんがそうであるとするならば、そうであるからこそ、友達に声をかけて、子ども食堂に立ち寄ってほしいんです。どれだけ新聞やテレビで放送されても、素敵なウェブサイトであっても、見知らぬひとたちしかいない場所に足を運ぶのは、誰にとっても簡単なことではありません。

それでも、社会科見学として、地域の子ども食堂の見学として、理由はなんでもいいのですが、互いに誘い合ってふらっと立ち寄ってみたらどうだろうかと思うのです。いま、子ども食堂を必要としていなくても、私たちは突然困ることがあります。また、いつ悩みを抱えるのかは誰にもわかりません。

そして、そうなってからひとに助けを求めることが難しくなりがちだからこそ、いまのうちに、自分ひとりでなく、子ども食堂に行ってみておく、ということは訪問のハードルを下げ、何かあったときに「こんな場所があり、こんな素敵なひとたちがいるんだ」ということが大きな助けになります。

子ども食堂は全国に約3,700か所もあるということですので、きっとみなさんの近くにも素敵な子ども食堂があり、みなさんの来訪を歓迎してくれるはずです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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