そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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つながりを地域で作る
~お手伝いは難しくない~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

新しい年度が始まり、それぞれがこの一年をどう過ごすのか考える時期ですね。育て上げネット「まなびタス」に通う中学生、高校生はそれぞれの進路に向かっていきます。進学や就職をしたひともいますし、学年が変わって新たな目標を立てるひともいます。

昨年度もたくさんの出会いがあり、別れがありました。それぞれ悩みや不安もあると思いますが、学習だけでなく、さまざまなイベントを通じて時間をともに過ごしました。これまでに経験したことのない一年でしたが、職員も子どもたちも毎日変化する環境のなかで、楽しみを見つけ、一緒に作ってきました。

学校ではイベントが縮小、または、なくなるということもありました。特に職場や地域とのかかわりは、普段接点のないひとや場を知るという意味でとても大切なイベントでしたが、それも簡単ではなかったですね。

私たちはオンラインを活用して、さまざまな職業・職場のひとと話、それを動画編集でまとめてみることもしました。
参考: 育て上げネット「未来望遠鏡 ~インターネットの古本屋~」

サムネイル画像をクリックすると動画が再生されます。(音声が出ますのでご注意ください)

また、生活が厳しいひとたちのために活動するフードバングでは、仕分け作業の人出が足りないことから、感染症予防に気を付けてお手伝いをすることもありました。

実際に足を運んで、職場のことを肌で感じられる機会は少なくなってしまいましたが、それでも地域の方から感謝され、「こんな働き方や生き方もあるんだ」と知ることは、みなさんの進路や人生に少なからず影響をもたらします。

ボランティアやインターンシップという言葉は広く誰もが知っていますが、それでもちょっとハードルが高いなと感じることがあるかもしれません。しかし、言葉としてはボランティアを使っていても、本当にちょっとした、ときに数時間の「お手伝い」を必要としている活動はここかしこにあります。

では、どうやって見つけるのか。お手伝いをすることは難しくないのですが、その機会を見つけるのはちょっと手間がかかります。もちろん、インターネットで検索するというのもありますが、意外と「ちょっとした手がほしい」という機会は、ネットに掲載してないこともあります。

ひとつは、「ボランティア」や「インターンシップ」で検索するもの。その内容は簡単なものから難易度(スキルや時間など)の高いものまで幅広くあります。ボランティア募集でよさそうなのがあれば、連絡をして自分ができる条件を伝えてみてください。また、別の見つけ方としては先生や親、地域の自治会の役員をされている方に聞いてみることです。

自治会と聞いてもわかりづらいと思いますが、PTAや子ども会で見かけた大人のなかには、そのような役回りを引き受けていらっしゃる方々がたくさんいます。「何かちょっと手伝えることありますか」と聞けば、喜んで「こんなのあるよ」と提案してくれるはずです。

この一年間で私たちが改めて気が付いたのは、何かあったとき地域内でのつながりの有無がとても重要だということ。加えて、インターネットなどで情報を取得できる、うまく活用できるひとたちの存在と合わさることでさまざまな状況変化に対応し、支え合えるということです。新たな一年を迎えるにあたって、ほんの少しこれまでとは異なる場所や世界に足を運んでみるのはいかがでしょうか。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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