そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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つながりを地域で作る
~あなたの参加を待っています~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

暖かい日が増えてきましたね。育て上げネット「まなびタス」を卒業する高校生たちを見送るイベントも大きくはしづらい環境です。それでも何かできることはあるだろうかとみんなで頭をひねりました。

ひとが密集することは避けなければならない、食事をともにすることもできません(工夫は可能)。そんなとき、近くの公園の広場の一角が市民に開かれていることを知りました。なんでもできるわけではありませんが、そこにはときどきキッチンカーがお店を出していたりしますし、私もそれを見たことがありました。

私たちは、「ジョブトレ」という就労支援プログラムに通う若者や卒業生を交えて、「まなびタス」の子どもたちとも一緒に、そこで小さな古本市のようなものを開催しました。いつもお世話になっている企業さまのお力を借りながら、たくさんの書籍を並べ、地域のひとたちや子どもたちに好きな本を持って帰っていただくものです。

私も家族と一緒に参加をしたのですが、高校生たちも優しく子どもたちと話し、遊んでくれたおかげで、ひとときの安らぎをいただきました。子どもたちにとっては大人がかかわってくださるのもよいのですが、やはり、年の近いおにいさん、おねえさんの存在が嬉しかったようで、次の機会を楽しみにしているようでした。

このような地域でのイベントを開催するとき、子どもだけとか大人だけというのではなく、多世代で、たくさんのひとたちが手を貸してくださいます。そして、「みんな」がそこにいることが、より多くの「みんな」が目を向け、足を運ぶきっかけになります。

特に中学生、高校生のみなさんであれば、友人や知人も見に来てくれることがあり、たくさんのひとに情報や機会を届けることにつながります。地域のイベントは何となく大人が子どもに行う、大人が大人とかかわるように見えるかもしれません。

実際、私自身も高校時代にそのような地域イベントにかかわったかと言われると、ほとんど関心を示すことがなかったように思います。そこには気恥ずかしさや、そもそも関心がないということもありました。

しかし、実際にこの年齢になって運営側に回ったとき、高校生年代のみなさんが手伝ってくれることが、どれだけありがたいことか理解できます。こちらからはなかなかお一人おひとりに参加を呼び掛けることができずにいます。ただ、それでもインターネットなどを使って呼びかけたり、チラシを配布したり、できるだけ知っていただける工夫をしています。

もし、高校生のみなさんが地域とのつながりや参加に興味を持っていただけるのであれば、大変うれしく思います。地域は「あなたの参加を待っています」。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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