そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

129-1

129-1
変わっていくということ
~非日常と向き合う~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

もう13年も前になりますが、まだ高校生だったころにイメージした「仕事」は、ブルーカラーなんて呼び方をされていて、スーツを着て、毎日電車に揺られて、オフィスに着けばパソコンに向かって…なんてイメージをしていました。

13年経って、パソコンに向き合う私の毎日は当時のイメージ通りですが、コロナ禍でほとんど家から仕事をしています。スーツは取引先の会社に打ち合わせに行くときくらいで、ユニクロのパーカーで出勤。革靴は足が痛くなるからウォーキングシューズ、スマホがあるから時計もしない。こんな31歳になるなんて、想像もしていませんでした。

想像していたような仕事に就いたかといわれると、それもまた違うように思います。まさかこんなふうにたくさんの人に読まれる寄稿をしているなんて…

そんな「将来」のきっかけになったのは東日本震災でした。たまたま大学2年生だった私は、大学の講義もアルバイトもそこそこに、週末に東北へ行って復興活動に関わっていました。津波被害のあった地域では、家のなかも道路も、映画のセットのようなひどい状態なのに、毎日、そこで生活せざるを得ない方がたくさんいたのです。

安心して過ごすことができる日常というのは、抗うことができない力で簡単に失われてしまうのだと強く実感しました。そうした「非日常を日常として生きる」ことは避けられないかもしれないけれど、周囲でそういうことが起きたとき、なにかができる人でありたいと考えるようになりました。

この原稿は4月末に書いているのですが、3度目の緊急事態宣言が発出され、感染症という見えない脅威との戦いはまだまだ続いていくようで、どれだけ対策をしても、どれだけ注意をしても勢いが止まらないこの状況は、ときに自身の無力さを感じることもあるかもしれません。

ふと、復興活動当時、数千名が参加したときのスローガンを思い出します。

「微力ではあるけれど、無力ではなかった」

この社会問題を乗り越えたとき、自分に対してそういえるように、もう少し頑張り続けようと思っています。これを読んでくださったあなたが、もう少しだけ頑張ろうと思えるなにかになればうれしいです。

そんな余裕はもうない、いまこの瞬間がどうにもならないように感じているとしたら、誰かを支える活動がたくさんあります。1年以上も続いてきたこの非日常は、もう日常に近づいているかもしれません。

でもやっぱり、これは守りたい日常ではないなと思うとき、住んでいる地域の支援機関や信頼できる人に話をしてみるのもおすすめです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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