そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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「時間」を捉える
~学びと時間の関係~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山崎 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

前回「学生にはお金はないけど時間がある」という話をしました。本当に時間があるのかどうかは別にして「時間」について考えてみようと思います。

私が最も身近に感じている「時間」は働くことに費やしている時間です。実際にどれくらい働いているのかというと、いわゆる正社員の方は週40時間ほど働いていますから、毎月160時間、年間で約2,000時間ですね。

では2,000時間がどれくらいのものなのかと考えてみます。10年ほど前にベストセラーになった本『天才! 成功する人々の法則(原題:Outliers)』で「10,000時間の法則」という言葉が有名になりました。プロとして通用する人に共通するのは時間を費やしているという言説です。週40時間もの時間を費やしても、プロになるのは少なくとも5年はかかってしまいます。

ちなみに、この本では10,000時間を費やすことそのものではなく、生まれや時代、文化、言葉など多様な要素が絡んでいるということが書かれています。「頑張ること」に悩んでいる方にはオススメです。

この本が出版されて数年後に「最初の20時間」という言説も出てきました。前述の10,000時間は一流のプロになるための時間であり、「新しいこと」をそこそこできるようになるためには20時間で充分だということです。

YouTubeで2,500万回以上再生されていて日本語字幕もありますので、何かしたいけど、どうしたら良いかとお悩みの方はご視聴いただければと思います。

サムネイル画像をクリックすると動画が再生されます。(音声が出ますのでご注意ください)

ちなみに、上に挙げた「最初の20時間」で新しいスキルを身につけるために必要なものとして「すぐにフィードバックがある」ということも含まれています。自分が勉強していることの良し悪しや評価がわかるようにしておくということですね。

例えば「プログラミングを学びたい!」というとき、作ったプログラムが実行されるかどうかすぐにわかるので、自分だけでもフィードバックが得られます。ただ、他者の評価が必要なときには誰かが学びに付き合ってくれないと難しいですよね。

SNSで自ら発信することで世界中がフィードバックしてくれる時代でもありますが、最初のうちは信頼できる人の反応をもらえるようにした方が良いかなと思います。

最近は若者支援団体が全国的に増えてきて、オンラインでの対応をしている場所も増えてきました。もし、自分の周りに勉強に付き合ってくれる人がいないなというときには手伝ってくれる人を探すことはいかがでしょうか。

誰しも平等に時間を過ごしていますが、時間となにかを掛け合わせてみると見方がいろいろと変わっていきます。コロナ禍で学校生活も一変して、いままでとは時間の使い方も変わってきたと思います。

きっと「新しいこと」にチャレンジしないといけない場面に直面することもあると思いますが、時間の使い方という視点から眺めてみてはいかがでしょうか。

余談ですが、高校生3年間の学習時間は最低でも2,160時間程度でした。私が卒業した大学の卒業に必要な時間は4年間で2,800時間程度でした。年間にならすと毎年700時間くらい、身近な生活を時間から振り返るのはいかがでしょうか。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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