そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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やりたいことが見つからない方へ
~まずは自己理解から~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山崎 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

就職活動をする高校生の3人に1人が「自分のやりたいことが見つからなくて不安」と回答したという調査データがあります。

逆にいうと3人に2人は、何かやりたいことがあるのか…と思うと、周囲が抱く未来への希望に焦りを感じてしまう方もいらっしゃるのではないかなと気になります。

「これがやりたい」と人生の選択肢を絞り込めたことはひとつ幸せなできごとです。

どうしても時間は平等なので、はやく始められるほうが経験を積みやすいですし、一部の仕事には、年齢制限がついているものもあります。公務員や自衛官などは、なりたいと思っても対象に入れないなんてこともあります。

それなら早く「やりたいこと」に出会わなければと余計に焦らせてしまったら謝らせてください。あくまで、これはひとつのあり方であって、「やりたいこと」に出会えなくても人生が不幸になるということではありません。

私はいまだに「やりたい」と強烈に思えた経験はありません。それは天命のように急に降ってくるものかもしれないので、31歳になった今もその瞬間を待っています。

じゃあ何をしているのか…というと、自分が「できる」と思えたことを仕事にしています。「できる」というのは、少しだけそれが周りの人より得意だと思えたことです。

周りに比べれば、少しだけ文章を書くのが好きだった。
周りに比べれば、人前に立ってしゃべることを評価してもらえた。
周りに比べれば、パソコンの前に座っていられる人だった。

大切なのは「周りと比べて」です。

学校の部活を例にするとわかりやすいでしょうか。地区大会、県大会、インターハイ(高校総体)…のように上り詰めていくので、自分の立ち位置がくっきりしてきませんか?

「いつも1回戦負けの弱小です」とか、「県大会のいいところまではいくんです」とか、「周り」というのはそのひとによって変わります。

インターハイ常連の方にとっては、将来オリンピックで活躍するような年代のトップ選手が「周り」になるでしょうし、地区大会出場で精一杯の方にとっては、体育ではやったことがあるくらいの方も「周り」になるかもしれません。

私が「周り」より得意だったことは、それで賞をいただいたこともなく、資格のようなものも持っていません。でも、人はそんなに広い世界のなかで生きていないので、全国大会のレベルで活躍できるような力を持っていなくても、ひとつの会社のなかでは良い評価を得られることはよくあります。

古い言葉でいえば「鶏口となるも牛後となるなかれ」というやつです。「やりたい」と思えることがなければ、まずは「できる」ことでスタートしてみるのはいかがでしょうか。

それも見つからないんです…という方は、身近な人に聞いてみるのはどうでしょうか。「できる/できない」というのは、比較する相手がいてはじめて生まれるものです。就職活動でよくいわれる「自己理解」というものです。

誰にも聞けない、聞きたくないな…という方は、第三者として相談を受けている支援機関があるのでそういったところも頼ってみてくださいね。「できる」ことを見つけたけど、それを仕事に活かす方法がわからない方にもオススメです。

なお、最初に出したデータには「相談相手がいない」と回答した方が23.8%とあり、およそ4人に1人がそうした状態にあります。相談相手がいないから探そう、というのは恥ずかしいことではありませんよ。

蛇足ですが私の「できる」ことは枝分かれして、今は「周りに比べれば得意」なことがずいぶん増えました、悪くいえば器用貧乏、よくいえば…なんでしょう? でもそんな自分が好きなのでオッケーです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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