そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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思っていたのと違うとき
~表現するということ~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

育て上げネットではさまざまな会社といっしょに若者を支えるプログラムを行っています。最近は多くの学校がそうであるように、パソコンをつかってリモートで受けられるものが多いのですが、今度はじめる「ステップ・キャンプ」というプログラムでは動画編集を集中して勉強するコースがあります。

いままでも短い期間で基本的な技術や知識を学ぶ講座は実施しましたが、こうして4カ月と時間をかけて行うのは初めてです。

実際に仕事を受注して制作をするところまで含まれている点に、個人的な思い入れがあります。

全米No.1を獲得した「bad guy」で日本でも名前が広く知られたビリー・アイリッシュはラジオ番組で、この楽曲が高評価を受けたことが意外であったことを明かしています。自分のファンは「bad guy」のような曲は嫌いだと思っていたと(※英語ですがYouTubeで番組を視聴することができます)。

まったくスケールは違いますが、私もYouTubeに動画をアップしたり、講演会やセミナーのチラシを作ったりしています。その制作にかけた時間や苦労、クオリティと結果が比例するかというと、必ずしもそんなことはありません。

何日もかけてじっくり作ったものはあまり興味をもってもらえず、急ぎでパパっと作ったもののほうが反響が良かったりします。良くも悪くも世間の反応というのは読めないものです。

育て上げネットでは以前からハンドメイドやモノづくりをテーマにした講座やプログラムを実施してきましたが、完成したものをたくさんの人に見てもらうのは勇気がいります。嫌なことを言われるんじゃないか、貶められるようなことを言われるのでは⋯と不安になると、せっかく作ってきたものを発表することなく終えてしまう方もいらっしゃいます。

評価というのはどれだけ自分が良い・悪いと考えていても世間が同じ回答をするかわかりません。だから「発表する」の練習をするのは大切なことだと考えています。

緊急事態宣言の解除もあって、さまざまな活動ができるようになっていくと、自分の努力や頑張りを周りに伝える機会も増えていくと思います。受験や就職活動でそうした場面が増える方もいらっしゃると思います。

自分が好きになれないことも、周りに評価されないと思うようなことでも、まったく違った評価が返ってくるかもしれません。ぜひ、心の中に留めずに発信してみてくださいね。とはいえ、いきなり不特定多数の人に情報を出すのはやっぱり不安だよという方は、私たちの相談プログラムを利用して小さなところから始めていくのもOKです。よかったら、こちら(アトオシ・オンライン)も参考にしてみてください。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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