そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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モチベーションの捉え方
~自律心の振り返り方~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山崎 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

12月になるとどうしても日々の大切さを感じるようになります。毎日同じだけ24時間が過ぎているのに、不思議なものです。

大人になると、周りからの変化が減っていきます。学年がひとつずつ上がり、日々、取り組む内容が常にレベルアップしていくということもありません。ともすると何年も同じ仕事をすることだってあります。というより、大人になると、自分に対してわざわざ言ってくれる人が減っていくのかなと思います。

社会人と呼ばれる人はいろいろ役割を持っていて、それ以外の役回りを勝手に受け持つことは基本的にありません。学校には先生がいて「生徒を指導する」役割を果たそうとしてくれますが、学校の外で見ず知らずの人を指導するのは仕事ではないのです。

学年が上がって、特に大学生になると学問に参加する難易度はググっと上がります。講義は自分で選ばなければならないし、わからないことは教授の空いている時間を調べて聞きにいったり⋯と、自分から動かなければ実りがなくなっていきます(大学の教授は後続を育てるために講義を受け持ちますが、中高の先生とは違って、本業はやはり研究なのです)。

野球の大谷翔平選手は大きな目標の達成のために、小さな目標とその目標の達成項目をつくって自己管理をしていたという話はずいぶん有名です。

重要なのは、その立てた目標によって自分を律して生活をすることができた力にあると思います。多くのトップアスリートが今の自分、過去の自分を競争相手にして自分自身を超えていく姿勢を持つように、大人になるほど自律した姿勢を持てないと成長するということが難しくなっていきます。

しかし、そう簡単に自律というのは成り立ちません。もし「資格取得のために毎日勉強する」と決めたとしても、アルバイトや講義レポートの作成、サークル活動⋯といろいろあるうち、その目標を守れなくなる(失念する)ことはしばしばあります。

でも、それを怒ってくれる人や指導をしてくれる人はいません。自分で自分を怒れる人というのは決して多くないのです(むしろ自身への怒りは行き過ぎると自傷行為などにつながる可能性もあるので注意が必要です)。

年末が近づくと近い将来の岐路がみえてきて、自分の変化を意識させられる機会も増えていくと思います。ステージが変わると今まではできていたことができなくなったり、環境の変化で思ったようにできないこともしばしばあります。

そのときにできなかったことだけを見つめてしまうと、苦しくなっていくだけなので、状況の変化を分析してみることも大切です。

日本語ではモチベーションは自分の内の方から湧いてくるものに捉えられる印象がありますが、英語ではモチベーションは周りから受けるものと捉えられています。

自分が決めたことなのに「できない」と思ったときに肩を落とすのではなくて、少し視野を広く持っていくことも試してみてください。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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