そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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「発見される」努力
~見つけてもらうための活動①~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山崎 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

普段、ひきこもりやニートとよばれている若者を支えるNPOで活動をしています。私自身は直接、そうした方々に対面せず、広報という役割です。広報の仕事のひとつは、支援活動の「発見」に関わりを持つことです。

「発見」というのは、一般的には宣伝、プロモーションに類するものでしょうか。多くの方は私たちのような支援団体を知らないので「発見」してもらう必要があり、さまざまな手段をとっています。

あなたは知りたいことがあったとき、どういった行動をとるでしょうか。インターネットで検索する、図書館で調べる、知人に聞いてみる⋯。その手段は多様にありますが「どうやって知りたい情報に行きつくのか」と冷静に考える機会は少ないのではと思います。

調べたいことがはっきりしているときはシンプルですね。狙っている受験校があればインターネットで学校名を調べるし、そこに関連ワードを重ねていけば知りたい情報にたどり着くのは容易でしょう。

若者が「ひきこもり 支援」や、「就労支援 NPO」なんてキーワードで情報を探してくれれば、私たちのことも簡単に見つけてもらえるはずです。もちろん、そうした言葉で調べる方が多いので、検索順位を上げる努力をしたり、たどり着きやすくなる努力をしています。

では、そうした明確な言葉を知らなかったときはどうでしょうか。「リンゴ」という単語を知らない状態で、リンゴを調べるとしたら⋯あなただったらどうしますか?

試しに「赤い 甘い 果物」と調べてみたら、Googleが最初に挙げたのはドラゴンフルーツとイチゴ。リンゴも出てきましたが、これだけ候補が出てくると「私が調べたかったものは“リンゴ”なのだろうか?」と自信は持てません。

自分がおかれている状況に明確な言葉を持っていないとき、欲しい情報にたどり着くのは苦心します。出てきた情報が正しいのかもわかりません。相談できる人がいれば、その人の知恵や考えを聞いて合理的にたどり着くこともできるかもしれませんが、私たちのことを探している人たちの多くは誰にも相談できない孤立状態にあり、それも「発見」が難しくなる要因です。

最後に。調べようとすら思っていないとき⋯。ここまでくると、そもそも「発見」という言葉が正しいのか、それを目指すのもおこがましいところはありますが、行動を起こさない方にも気づいてもらうにはどうしたらよいのでしょうか。

その取り組みについては、次回、書いてみようと思います。

幸運なことに私たちは年間で数万人の若者と出会い、約2,000名は支援活動がスタートします。私が直接お話をさせてもらうのは10人にも満たない程度ですが、「発見」の活動にかかわることは大きな支援の枠組みであり、より具体的な活動とはまた別の奥深さと取り組みの価値を感じています。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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