そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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生成AIと話す日々で
感じていること

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

こちらで生成AIの話の話題をたまに書いているのですが、最近の開発速度はあまりに早すぎてニュースを追うのもやっとで、ついていくのがやっとです。できるかぎり自分の持っているタスクをAIと一緒にやってみる、というのが今の私の目標です。

AIに触れていて思うのは「相手がAIであることがアドバンテージになっている」と、ヒシヒシと感じます。たとえば、私が仕事の進みが悪くて悩んでいることを伝えれば、AIはなんとなくそれっぽい答えや示唆をくれます。忙しそうにしている同僚に話を聞いてもらうほうが、マインドの共有ができているぶん会話の精度は高いかもしれません。ただ、相手の負担にならない気楽さは魅力的です。

特に、テレワークのときはそれを感じています。改まってチャットを打つのも面倒ですし、打ち合わせの時間を作ってもらうのは申し訳なさが勝ちます。AIはさくっと聞いたら返してくれるのがありがたいのです。

正直、AIが出してきた答えをそのまま採用することはほとんどありません。ただ、0から1を創る作業や、私が精通していない分野のアイデアが欲しいときには、たたき台があるだけでも助かるのです。

これはきっと支援の場でも生きるぞ、と思います。どう思うかAIに聞いてみました。

若者が相談をためらう理由の一つに、プライバシーや匿名性の問題があります。
対面や電話での相談では、相談相手が顔を知っている場合が多く、相談内容が外部に漏れることを恐れる若者も少なくありません。そんな若者たちにとって、生成AIを用いた匿名の相談は大きな救いとなるのです。

⋯⋯だそうです。大きな救いになるとはずいぶんと強気に出たなと思いますが、実際、こういうニーズはあると思います。どんな相手であれ、ネガティブな自分をみせるのは抵抗があるでしょう。

具体例としてどんなケースが考えられるか、さらに聞いてみました。

たとえば、大学生のBさんは、将来のキャリアについて悩んでいました。就職活動がうまくいかず、大学のキャリアセンターに相談することに抵抗がありました。周囲に相談内容が漏れるのではと心配していたからです。
Bさんは、生成AIを利用した匿名のキャリア相談サービスを利用しました。AIは興味やスキルに基づいて適切なアドバイスを提供し、Bさんは気軽に相談できる安心感を得ました。

これもまた、ずいぶんと自信ありげな回答です。ただ、こういう未来はすぐ近くにやってきているのではと思います。だって、私がそうですもの。どうしようかなと思ったらAIに聞いてみる。

お気づきの方もいるでしょうが、このコラムの文章はChatGPTが出力していて、私は私っぽい言い回しや比喩、書きぶりにアレンジしているのです。

AIをテーマにしたコラムを書くといつも同じ帰結になります。私たちのような支援職は、近いうちにセカンドオピニオンになっていくのだと思います。ファーストオピニオンはAIが担い、24時間365日いつでも聞きたいとき話を聞いてくれて、気に食わなければ私たちのような人間の出番がやってくるのでしょう。

以前に比べて、AI同士の競争も激化してますます発展著しくなってきました。今後もウォッチを続けます。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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