そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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未内定・進学先未定で卒業を迎える方へ、
4月までに今できること

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

光陰矢の如しと言いますか、2月末から3月はバタバタとしている時期で、毎年あまり記憶がありません。この時期、強く記憶に残っていることはあまりないような気がします。卒業式だったり、イベントはありますが、そういうときは手続きなどで慌ただしくしていて気付いたころにはもう4月で⋯。そんな時期ではないでしょうか。

そんなバタバタの時期にあえてこちらを紹介しようと思います。以前も書いたことがあるのですが、年度末のこの時期にあってまだ進路が決まっていない方は毎年必ずいらっしゃいます。かくいう私も大学4年生のときに進路がはっきりしていなくて、電話口で就職課の方を困らせた記憶があります。

昨年のデータになりますが、大学を卒業した約59万人に対し、進学や就職以外の方は約5.5万人とされていました。およそ9.4%と考えるとかなり高い割合に思います。

もちろん、このなかのすべての方が働くことに困っているわけではない前提はあります。ただ、所属が決まらないまま卒業する不安を感じておられる方がこれを読んでいるなら、地域若者サポートステーションという全国にある支援機関に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。通称「サポステ」と呼ばれる支援機関です。

通常は在学中の方の利用は想定されていません。ただし、年明け1月以降は就職先が決まっていない方に向けた相談や情報提供を行えるようになっています。大学の話から入ったので誤解のないようにすると、これは高校や専門学校に通っている(通っていた)方も含まれます。

将来のことをサポステで相談しても良いし、テンポよく仕事を探していきたいなら、ハローワークや職業訓練など国や自治体が提供している支援プログラムを教えてもらうのも良いとおもいます。

情報を集めるのも今できることのひとつです。インターネットで情報を集めていると、「人生詰んだ」とか「新卒カードがない就活はキツイ」とか、やる気を削ぐような辛辣な言葉も並んでいます。でも、決してそんなことはありません。

これを読んでくださった先生がいらっしゃいましたら、学校との連携した支援もサポステでできることなので、ぜひお近くの拠点にご連絡してみてください。

未内定・進学先未定というのは自分の所属を失うことでもあります。順調に学校を進級してきた方にとっては初めての体験になるでしょう。学校や会社など、自分と社会をつなぐわかりやすいポイントが無くなって、「自分」という存在を掴みにくい状態でもあります。

4月1日を迎えたとき、サポステでもなんでもいいので、どこかあなたが社会とつながっている場所があることを願います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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