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03/22 No.1

恒例 パティシエ界のレジェンド
洋菓子特別授業

国際製菓専門学校
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

製パン・製菓の技術を、実践と理論の両面から深く学ぶことができる国際製菓専門学校(東京都立川市)では、学期ごとにさまざまな特別授業を開催している。同校はエコール・ルノートル(フランス・パリ)の日本唯一の姉妹校でもあり、世界最先端のフランスの技術を学べるカリキュラムが特徴である。

▲特別講師を務めた西原金蔵先生

2月22日(火)、今年度を締めくくる特別講師は、コンフィズリー エスパス・キンゾーのオーナーシェフ、西原金蔵先生。2月の洋菓子特別授業は毎年恒例となっている。

西原先生は、1979年に渡仏。ル・レカミエなどで修業。’81年、第30回「アルパジョンコンクール」ピエス・モンテ部門銅賞を受賞。

同年帰国してからは神戸ポートピアホテルのレストラン・アラン・シャペル、ロオジェ、資生堂パーラー、神戸マリンホテルズ舞子ビラのシェフ・パティシエなどを歴任した、文字通りパティシエ界のレジェンドというべきシェフだ。フランス料理界の巨星アラン・シャペル(1937-1990)のもとで製菓長を務めていたこともある。

かつては毎週、同校で教鞭をとったこともあり、その縁から、毎年2月には特別授業を行って、後進への技術の伝授に熱心に取り組んでいるという。

この日は、コンフィテュール・クラスィック、オレンジのタルト、パッションフルーツのパート・ド・フリュイの3品について学ぶため、朝から夕方(9時30分〜16時)まで、まる1日をかけてシェフの技を学ぶための特別カリキュラムが組まれた。

今回の洋菓子特別授業の対象となるのは製菓総合専門士科の2年生と製パン専科の生徒たち。授業というにはあまりに長いこの日のレクチャーを、生徒の皆さんは熱心にメモを取り、身を乗り出して見入っている。

この日もいつものように同校の講師の先生方が入れ替わり立ち替わり講師の傍で助手を務め、講師の発信するパティスリーの技術の細部まで受講者に伝達するべく、温度やスピード感、機材の清潔さや調理の流れが最高のコンディションに維持されている。

キッチンスタジオでは、さながらフランスの有名シェフの菓子工房の雰囲気と溢れる活気のなか、流れるような段取りのもとレシピが形に仕上げられていく。その一挙手一投足を見逃すまいとする受講者のみなさんも、先生の口から発される、豊富な経験や知見、そして化学や物理の理論にも裏打ちされたパティスリーの妙味に、魅入られているようだ。

「店でフランボワーズのピューレができたので、ふとショコラを入れてみたらすごく良かった」という、普通はない斬新な組み合わせで新しいことにチャレンジした経験を語るときの西原先生も実に楽しそうであり、さすが料理界のダヴィンチと呼ばれたアラン・シャペルの製菓長と唸らされる。冷凍庫で仕上がったそのピューレを、生徒たち全員に味見してもらうときの目の輝きもまた天才パティスリーならでは。

道具を大切にし、手入れに目を光らせ、隙のない段取りの中に理論の裏付けを語る先生のレクチャーは、受講生だけでなく、取材に訪れた料理記者たちも熱心にメモを取るのに余念がない。

付きっきりの助手が先生の手元をiPhoneで撮影し、その映像は教室の大画面モニターに映し出される。レジェンドの手捌きを間近に見ることのできる、おそらくは永久保存版のレベルにある特別授業だった。

身をもって示されたプロ意識

西原先生がオーナーシェフを務めるコンフィズリー エスパス・キンゾー(京都府京都市)は、告知も宣伝も一切しないにもかかわらず、大盛況が続く“土日だけ営業する”洋菓子店である。同じくオーナーシェフを務めて大人気だったオ・グルニエ・ドールを人気絶頂のまま閉じ、充電期間を経て平成元年に同じ京都にオープンすると、瞬く間に全国から客足が絶えない伝説のパティスリーになった。

今回の特別授業は、多くが製菓業界などを志望している受講者にとって得難い体験となるレクチャーであり、多彩な学びがあった。講師がよく口にするのは、「僕たちはプロとして」である。プロとして味覚や理論、手際、手順を極めようと、身をもってプロフェッショナリティを示しているように見えた。

また一方で、授業に臨む生徒たちのモチベーションや、技術習得へ向けた目的意識の高さなどにも驚かされる。伝える講師と学ぶ生徒たちが相互に交流する、質の高い授業でもあったと思う。

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