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世界的なショコラティエ
山内大輔氏を講師に迎え
チョコレートの特別授業を開講
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世界屈指のショコラトリー“パトリック・ロジェ”で豊富なキャリアを積み、現在も国際的な活躍をする山内大輔氏の「チョコレートの特別授業」が、11月16日に国際製菓専門学校(東京都立川市・田中亮一校長)で、製菓総合専門士科2年生、製パン専科生を対象に開講した。
山内氏は、立教大学を卒業して築地市場で卸売業に3年間携わった後、パティシエを目指したというユニークな経験の持ち主。
国立市の老舗パティスリー「レ・アントルメ国立」で6年間修業してからヨーロッパにわたり、数々のパティスリー、ブーランジェリーで修行。フランスに拠点を定めるとMOFショコラティエである「パトリック・ロジェ」に入社し、10年間勤めてロジェ氏の右腕とも呼ばれた日本代表するショコラティエだ。
特別授業では、チョコレートの温度調節を通じてカカオバターを安定した結晶にする「テンパリング」をはじめ、それに付随する溶かしたチョコレートの一部を大理石台(マーブル台)の上に流し混ぜながら温度を下げて元のチョコレートに戻して適温にする「タブラージュ」、種類やカカオの含有率による味や製法の違い、さらにローストしたアーモンドやナッツをキャラメリゼして加工する「プラリネ」、チョコレートと生クリームを合わせて作る「ガナッシュ」、フランボワーズなどの果実を使った「チョコレートパテ」など、ショコラティエに必要な基本となる技術や製法について、ボンボンショコラなどの製作実演を通じて講義した。
中でもさまざまなチョコレート菓子の製作プロセスで重要な地位を占める「テンパリング」では、天候による室温や湿度、作業の段取りなどで微妙に変化する温度のコントロールについて、結晶化の仕組みを科学的に解説しながらその徹底の大切さを強調した。
また、学生たちにカカオ豆のカラむきを体験させ、そのカカオから作ったチョコレート原料とメーカによって異なる原料の味の違いをテイスティングによって実感してもうなど、完成形を考えながらどの原料を何に合わせ、どのようなチョコレート菓子に仕上げていくのか、プロのショコラティエに不可欠な想像力、発想力を養うよう指導した。
「カカオの殻をむく段階からチョコレート原料を作ることでチョコレート菓子がより身近に感じられた」
「作業する量や時間によって変化する温度管理の難しさを知ることができ、チョコレートが繊細な素材だと実感した」
「テンパリングのメカニズムを理論的に理解でき、その重要性がよく分かった」
「将来、自分のお店を持った時、どんな商品構成にしようか夢がふくらんだ」
など、世界の第一線で活躍するチョコラティエの、より実践的で刺激的な講義を通して学生たちは大きな触発を受けたようだ。
最後に山内氏は、「基本をしっかり身に付け多彩な分野に興味を持って知識を吸収し、新しいチョコレート菓子に挑戦してもらいたい。努力した分だけ可能性は大きく開かれる、世界に羽ばたくことを期待する」と学生たちにエールを贈り、7時間に及ぶ特別授業を締めくくった。