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風の声

大学で講師を務める評論家久田邦明氏のエッセー

第92回

第92回
社会問題としてのひきこもり
(後編)

久田 邦明
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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昨年、相次いで、年齢幅を広くとった、ひきこもりの調査報告書がまとめられた。

東京都町田市保健所では、20〜64歳のひきこもりの実態を明らかにする調査報告書をまとめた。そのなかの、2,000人の市民を対象としたこの調査では、回答者自身または家族がひきこもりの状態にあるという回答が5.5%、近所の人、親戚・知人にひきこもりの状態の人がいるという回答が23.7%だった。

山形県子育て推進部も調査報告書をまとめている。民生委員・児童委員や主任児童委員へのアンケートでは、15歳以上のひきこもりの割合は0.14%だが、そのうち40代以上が45%と、年齢構成の実態について考えさせられる結果となっている。

山形市で活動する、NPO法人ぷらっとほーむの『ぷらっとほーむ通信』(126号/2013年10月)では、山形県の調査結果を紹介し、次のように述べている。

「調査結果から言えるのは、『ひきこもり』の高齢化というよりはむしろ、『ひきこもり』の偏在化ではないかと思われる。若かった『ひきこもり』たちが歳を重ねたというより、『ひきこもり』のようなありかた――社会的孤立――があらゆる年代や属性の人びとのうちに見出されるようになった、ということではないのか。」

現場からの実態報告といえるだろう。

30代までを対象とした厚生労働省や内閣府などの調査では、推計値で1〜2%とされている。この推計値をめぐる問題はさておくとして、30代までに限定する、ひきこもりの捉え方そのものを再考する必要があるのだ。今や、ひきこもりは、若者の成長過程のつまずきの一つではなく、社会問題だということが明らかになってきているからだ。さて、それでは、社会問題としてみるとは、どういうことなのか。

藤里町社会福祉協議会事務局長の菊地まゆみは、「彼らのパワーを引き出すことが出来れば、この街はまだまだ変わる、活性化できる。引きこもり者のパワーで、町づくりができるのだと、希望が膨らんでいくのを抑えられない」(前掲書)と記し、ひきこもり支援を地域社会の再生のための活動と捉えている。このような指摘が糸口となるだろう。

久田 邦明(ひさだ・くにあき)
首都圏の複数の大学で講義を担当している。専門は青少年教育・地域文化論。この数年、全国各地を訪ねて地域活動の担い手に話を聞く。急速にすすむ市場化によって地域社会は大きく変貌している。しかし、生活共同体としての地域社会の記憶は、意外にしぶとく生き残っている。それを糸口に、復古主義とは異なる方向で、近未来社会の展望を探り出すことが可能ではないかと考えている。このコラムでは、子どもから高齢者まで幅広い世代とのあいだの〈世間話〉を糸口に、この時代を考察する。

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