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01/12 No.2

自宅から世界に繋がり・学び・体験する
未来の創造性教育
~COVID-19で加速した“教育のネットワーク化”~

立命館大学
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

2020年12月17日、立命館大学は、身近な食をきっかけに、SDGsを学びに取り入れる創造性教育プログラム「GastroEdu(ガストロエデュ)※プログラム」を、COVID-19で加速した“教育のネットワーク化”の事例として紹介した。

COVID-19の影響による臨時休校や学校行事の中止により、リアルな場での教育機会が失われる一方、日本の教育のデジタル化が本格的に動き出し、物理的な距離の壁を超えリアルタイムで世界と繋がり・学び・体験する、新たな教育の可能性が生まれた。

“教育のネットワーク化”は、世界各地の専門家と繋がる機会を容易にし、今まで難しいとされていたことを可能にする「未来の教育のキー」であると立命館大学は考える。この教育ネットワーク化を推し進めるために「GastroEduプロジェクト」が立ち上げられた。

本プログラムは、オンラインの特性を生かしたワークショップ形式で、世界中と接続してリアルに体験すること・行動することで学びを深めていき、サイエンス、テクノロジーのみならず文化や歴史などの多くの視点から問題の本質を捉えることのできるイノベーション人材の育成を目指す。

※ GastroEdu(ガストロエデュ)とは、食事・料理と文化の関係を考察するgastronomy(ガストロノミー)とeducation(エデュケーション)の造語。食を総合的に研究・教育する日本初の大学として創設された立命館大学食マネジメント学部と海外企画業務を展開する株式会社TNCとの産学共同研究。
食と向き合うことは生きると向き合うこと。食を入口に社会課題と深く向き合い、未来のために、いまの食のあり方を子どもたちと共に、楽しく、美しく、作り直していく活動を行っている。

創造性教育は、未来を創る力を養うこと。社会を深く理解してこれからの私たちの未来を考える。その為には社会システムを多視点で捉え、サスティナビリティと言われる環境性・経済性・社会性をバランスよく実現することが必要となる。多視点から物事の本質を見極める力を、食を起点に育んでいく。

オンラインで世界の最先端の知に接続し、想像(創造)力を養い、食を題材に手を動かして体験する。感情が揺さぶられたり、驚いたり、喜んだり、世界中の人や実社会と深くオンラインで繋がりながら、「知りたいと思う気持ち」を培っていく。

そしてこのプロジェクトには多くの大学生も参画する。企画段階から総勢60名を超える運営チームの一員として、教えながら学びを進めていくことで、大学生の創造性教育を含む複合的なプロジェクトとして設計されている。

2020年8月、本プロジェクトの第一弾として、立命館学園の小学生を対象とし、“トマト”を題材に食品ロスについて取り組む「トマトアドベンチャー」が行われた。

参加した子どもたちは、オンラインならではの授業手法によって、遠いイタリアのトマトの生産現場や料理人と、ライブ感やリアリティ溢れるふれあいを経験。世界中が抱える「食品ロス」という社会問題に対して、自身で考え、課題解決にチャレンジした。

2021年1月、第二弾として立命館学園の中学生を対象に、バレンシア(スペイン)とフィレンツェ(イタリア)をリアルタイムで繋ぎ“レモン”を題材に生物多様性と持続可能性を学ぶ「レモンアドベンチャー」を実施する。

「レモンアドベンチャー」では、文部科学省高等教育局専門教育課が推進するデジタル技術を上手く活用した大学教育高度化プロジェクト「Scheem-D」(スキーム・ディー)により、ZVC Japan株式会社(Zoom)がプロジェクトパートナーとして参画している。

「Scheem-D」は、デジタル技術を上手く活用した高い学習成果の達成や、学生の自発的な学び・気づきの効果的な誘導、現場実習に近い経験の獲得など、授業の価値を最大化する「大学教育のデジタライゼーション」を目指す。公開の「ピッチイベント」で大学側に不足している技術やアイデアに対し、同じ志をもったパートナーとの「マッチング」を行う。

教育プログラムのデジタライゼーションにより、コロナ禍でも学びの質を高めることできると期待がされる、まさに立命館大学の教育のネットワーク化は、未来の創造性教育の有効な手法の一つではないだろうか。

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