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02/08 No.1変化する留学事情と
ニューノーマルとしての“オンライン留学”
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2021年1月18日、立命館大学は新型コロナウイルスの影響で海外留学の実施が難しくなる中、各大学でも導入が進む“オンライン留学”をテーマに、日本の大学のオンライン留学の現状ならびに、本学が2021年2月から新しく開始するカリフォルニア大学とのオンライン留学の事例を紹介した。
オンライン留学のメリット
最近では、海外の大学の教員とオンラインで接続してプログラムを実施する大学が増えている。オンラインでの実施は、渡航を伴わないため、これまで費用や時間の問題で海外留学を諦めていた学生にも留学を体験する機会を提供できることが期待されている。
本学では、アメリカ・カリフォルニア大学デービス校(以下:UCD)とプログラムの共同開発を行い、2021年2月より4週間のオンライン留学をスタートする。
プログラムでは、世界の共通目標である「SDGs」をテーマに、立命館大学の学生と先進的にSDGsに取り組むUCDがリアルタイムで繋がり、互いの国の実情を理解し合うとともに、環境・エネルギー・ジェンダーなどの課題についても議論する。また、授業外においても学生交流を促し、留学終了後も双方の関係が続くような機会の提供を行う。
積極的な交流を促進し、他社会と自社会の理解を狙う
本プログラムでは、英語のレベルごとのグループにわかれる。テーマに関する英語学習からスタートし、SDGsの内容ベースのカリキュラムに進む。大きな特長は、現地とリアルタイムでつながるリモート授業だ。週5日午前に90分×2コマのクラスを受講し、午後は自身の日本での生活と学びを復習する。
オンライン留学にあたっては、モチベーションの維持や、五感を使った経験の難しさが課題だと、立命館大学国際学部副部長の豊田准教授は話す。参加者の事前交流会や、UCD模擬国連チームとの交流活動などで課題を充足するねらいだ。
人類共通のテーマに、多様な学生が参加する
本プログラムは、立命館大学の学部生に加え、立命館大学/立命館アジア太平洋大学進学予定の附属校・提携校(3年生)、大学院生にも開放。理系・文系学生、1-4回生、高校生など多様な学生が参加する。
SDGsという人類共通かつ身近な課題をテーマとすることで異文化(社会)理解を促進。共通課題(話題)であるからこそ、SDGsを話題として学生間交流が促進されるだろうと期待する。
スマート・グローバル・ラーニング構想
立命館大学は、アフターコロナの留学モデル「スマート・グローバル・ラーニング構想」を進める。「日本にいながら海外大学のオンライン授業・単位認定」「既存の本学科目をベースに協定大学等との共同開講・単位授与」「既存の本学科目をオンライン開講」の3つを従来型の留学にプラスしていくことをめざす。
立命館大学とUCDは様々なプログラムでパートナーシップを組み、2021年で11年目を迎える。
カリフォルニア大学デービス校におけるオンライン教育
UCDでは、COVID-19以前からオンライン教育を通常の授業形態としており、インフラ、教員研修、教材のデジタル化が充実している。現在、留学生は帰国しており、時差の関係でリモート授業は難しい状態だ。
UCD国際教育センターの藤田氏は、日本の学校におけるITインフラの遅れや、教員のIT利用率の低さ、学位と職種の不一致、高校における理系・文系選択による弊害、生涯教育の位置付けなど、コロナ禍で露呈した問題点を指摘する。新しい試みにより様々な教育機会へのアクセスの多様化による活性化を期待する。
海外留学派遣再活性化へ向けて
コロナ終息後を見据えた、高等教育機関のあるべき国際化の方向性について、8割を超える大学が「実際の留学とオンラインによる交流とを合わせたBlended/Hybridプログラムへの見直し」を模索している(参考:文部科学省『「スーパーグローバル大学創生支援事業」及び「大学の世界展開力強化事業」採択校に関する緊急アンケート結果(第1回)の報告』より)。
立命館大学は、同校が進める「スマート・グローバル・ラーニング構想」を中心に、対面とオンラインの融合をめざすなど、コロナ終息後の新しい国際教育連携を見据えて、新しい教育の形態が模索されている。