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4-9シリーズ4 専門学校とAO入試
Part.9
都高進専門学校研究会
AO入試のアンケートと研究会を実施
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東京都高等学校進路指導協議会(都高進)は、東京都における専門学校版AO入試の本格実施を受けて昨秋、高校を対象としたアンケート調査を実施。その結果をまとめるとともに、2007年12月に第36回都高進専門学校研究会を開催した。当シリーズの最終回として、アンケートの内容と研究会の概要をレポートする。
専門学校版AO入試について
都高進がアンケートを実施
東京都専修学校各種学校協会(東専各)が専門学校版AO入試の導入を決定し、会員校に通達したのは2006年12月25日付のこと。しかし、都内の高校では専門学校版AO入試導入があまり浸透せず、AO入試がスタートするころになっても、高校がその事実を知らないケースもあった。
都高進や多摩地区高等学校進路指導協議会(多摩高進)では、早い時期から専門学校版AO入試に注目していたが、高校全体への周知が進んでいないことや、初年度のためAO入試の実施状況がわかりにくいことなどもあって、組織的な対応はしていなかった。
とはいえ、専門学校版AO入試は現実に動き出しているので、高校としても対応していく必要がある。そこで、都高進は2007年秋、高校向けに「専門学校のAO入試実施に関するアンケート」を実施した。質問の内容は次のようなものだ(アンケート用紙そのものの表記とは異なる)。
1)本年度、東京都の専門学校がAO入試を導入することをいつ知りましたか。
・知った時期
・知ったきっかけ
・指導を行ったか
周知に時間がかかったAO入試導入
アンケートの回答数は105校で、都立高校が54校、私立高校が51校だった。
アンケートのうち、AO入試を知った時期についてみると、3月以前が33校、新学期早々が24校、5月が14校、夏季休業前が12校、9月が6校、今まで(アンケート実施まで)知らずが16校となっている(図表1参照)。
東専各では、2007年2月19日付で「『専門学校版AO入試』導入と学生募集時期に関する確認事項の変更についてのお願い」と題した文書を、都内各高校の校長、進路指導主任、第1・2・3学年主任、保護者会会長あてに送付しているという。
アンケート結果をみる限りでは、東専各がこの文書を送付していたものの、AO入試導入が高校側に充分周知されるまでには時間がかかったようだ。
情報の入手先(図表2参照)は、専門学校の広報担当者が38%、進路情報誌の記事が26%、進路関係の研究会が21%、生徒が4%、その他が11%。指導の有無については、指導した高校が54校、指導しなかった高校が35校であった。
高校と専門学校などが参加し
報告やシンポジウムを行う
都高進は、アンケート調査の結果をまとめたのち、2007年12月6日に第36回都高進専門学校研究会を開催し、研究協議を行った。
研究協議では、都高進事務局長・浦部ひとみ教諭(都立足立高等学校)の挨拶のあと、個別報告が行われた。まず「AO入試導入の経緯と『運用基準』について」の報告が東専各事務局次長・有我明則氏によって行われ、次いで「AO入試アンケートの結果について」の報告が都高進専修学校研究会・長崎晶彦教諭(都立新宿山吹高等学校)によって行われた。これらの報告について質疑応答も行われた。
個別報告に引き続いて「専門学校のAO入試を考える―AO入試元年の実施状況と結果の検証―」と題したシンポジウムが開かれた。
パネリストは、東専各事務局次長の有我明則氏、学校法人立志舎・専門学校日本スクールオブビジネス教務担当常務理事・校長の山口慎一氏、国際文化理容美容専門学校国分寺校学校長の鈴木隆氏、東京愛犬専門学校学校長・理事長の窪田武雄氏、日本工学院専門学校・日本工学院八王子専門学校学校長の千葉茂氏、都高進事務局長の浦部ひとみ教諭。コーディネーターは、都立南多摩高等学校の齋藤勉教諭。
専門学校版AO入試については、当シリーズですでにレポートしたように、都高進や多摩高進では高校側と専門学校側が意見交換する場が必要だと考えていた。その意味では、研究会に高校、専門学校、東専各が参加し、報告やシンポジウムを行ったことには意義がある。
専門学校版AO入試2年度目となる2008年度も目前に迫ってきた。この新しい入試制度が、高校、専門学校、そして何よりも進学をめざす多くの生徒にとって実り多いものになっていくことが期待される。