EYE's Journal

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53-8

シリーズ53 令和3年度大学入学者選抜
Part.8 
総合型選抜の概要(3)
~強い志望動機と基礎学力の修得が
合否のカギ~

文: 田中 美代
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

新型コロナウイルス(以下「COVID-19」)感染拡大による受験生への影響が懸念される中、9月15日から総合型選抜の出願受付が始まった。令和3年度入試では、実施日程・内容の見直しなど、各大学が受験生の救済策に取り組んでおり、オンラインによる選抜も広く採用される模様だ。混乱必至の状況ではあるが、総合型選抜入試に向けた対策をまとめてみた。

「総合型選抜の概要(1)~AO入試から何が変わったのか~」はこちら

「総合型選抜の概要(2)~実施大学拡大、選抜方法の多様化進む~」はこちら

志望校のアドミッション・ポリシーを確認し
自分の強みを積極的にアピール

総合型選抜は、大学・学部が求める学生像(アドミッション・ポリシー)に合う人材を選考する入試だ。受験を考える際には、次のような対策が必要となろう。

①志望大学・学部のアドミッション・ポリシーを確認する。
アドミッション・ポリシーは大学・学部によって異なるため、まず志望校についてよく知る必要がある。大学のHPやパンフレット、募集要項などをチェックし、志望校の求める人物像が自分に合っているかを検討しよう。そのうえで「どうしてその大学に行きたいのか」「将来どんな勉強がしたいのか」などを明確にし、「どうしてもここで学びたい」という強い意志を持つことが出願の一歩になる。

②募集要項等で出願条件・選抜方法を確認する。
総合型選抜は高校の推薦がなくても出願できるが、成績や課外活動実績等独自の基準が設けられている。また選抜方法も、面接や小論文をはじめプレゼンテーション、模擬授業やグループディスカッションなど多岐にわたっている。大学・学部によっては総合型選抜に複数の方式を設けているところもあるので、どの方式で受験すれば自分の強みを活かせるか検討し、それにあった対策を立てよう。

③興味や関心のある分野に積極的に挑戦しておく。
どの大学の総合選抜でも必須となっているのが書類選考で、その中心が「調査書」。学業成績はもちろん部活・課外活動など高校生活の総合評価が記入されるため、出願を決めたら自分をアピールできる材料を増やすことを考えたい。例えば学校の部活動以外にボランティア活動、ワークショップ、コンテストなどに積極的に参加したり、各種資格・検定を取得するなどの取り組みが有効だろう。

④授業を軸に基礎学力を身につける。
総合型選抜でも学力検査が必須となり、大学入学共通テストのほか、独自の筆記試験や口頭試問などで学力が評価される。日頃から一般入試を受験するつもりで学習し、十分な基礎学力を身につけておこう。

総合型入試は、高校時代にじっくり取り組んできたものがあったり、一発勝負ではなく自分のよいところを評価して欲しいという人に向いた選抜方法だ。「合格のため」ではなく、大学入学後の学びを意識した受験・対策を考えたい。

志望校の最新情報を
こまめにチェックしよう

総合型選抜では、部活動の活動実績や資格取得の状況なども選考の対象となることが多いが、令和3年度は各種スポーツ・文化関係の行事、大会、資格・検定試験等が中止となったことで、出願基準を緩和する大学もあるので、各大学の発表を注意してほしい。

また、面接等をオンラインで実施する大学が増えている中、通信環境の差や技術的な不具合等も懸念されている。文部科学省では、受験生が不利益を被らないよう各大学に配慮を求めており、今後選抜方法等の変更もあり得る。志望校の最新情報をこまめにチェックし、その大学の選抜に向けた対策をしていこう。

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