EYE's Journal

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53-9

シリーズ53 令和3年度大学入学者選抜
Part.9 
学校推薦型選抜の概要(3)
学校長推薦、自己推薦以外の推薦もチェック

文: 寳諸 宏
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

学校長が大学側に自校の人材を推薦するのが推薦選抜の基本だ。それ以外では自己推薦が広く実施されてきた。自己推薦は2021年度入試でも多数実施されているが、ほとんどは学校推薦型選抜でなく、総合型選抜に組み込まれている。リニューアル時に選抜名称から自己推薦が消えたものもあるが、「自己推薦=自己アピール」と考えれば納得だ。今回は「推薦者」に着目して、少しユニークな推薦選抜を紹介してみよう。

「学校推薦型選抜の概要(1)」はこちら

「学校推薦型選抜の概要(2)」はこちら

「まちづくりチャレンジ入試」
(法政大・総合型選抜)

学校長以外の推薦を要する推薦選抜として、法政大現代福祉学部福祉コミュニティ学科の「まちづくりチャレンジ入試」を紹介しておこう。

これは地域の問題を解決するため主体的に関わってきたまちづくりの経験や実績をアピールできる者が出願対象となる選抜で、自己推薦とされているが、まちづくり経験や実績等を客観的に証明する推薦者が必要だ。

推薦者例としては高等学校長のほか、まちづくりNPO等の代表者、プロジェクト等の主催者、自治体首長等が挙げられている。

学校長以外の推薦としては、日本赤十字北海道看護大(赤十字特別推薦選抜)や鈴鹿医療科学大看護学部(面接方式特別枠)などの病院長推薦、国立音楽大など複数の音大で実施している指導者推薦などが挙げられる。

予備校長などの推薦を認める推薦選抜があるほか、スポーツ・文化系推薦では、学校長に加えクラブ顧問等の推薦も必要な場合がある。

「地域医療特別枠」
(長崎大・学校推薦型選抜)

国公私立大医学部医学科では、県などの特定地方自治体が医師確保のための修学資金(奨学金)を提供する「地域枠」を設定している場合が多い。このような選抜では、学校長の推薦に加えて地方自治体の推薦も必要となる場合がある。

長崎大医学部医学科の「学校推薦型選抜ⅡB:地域医療特別枠」は学校長推薦のほか長崎県の推薦も必要となる。また推薦を受けるためには長崎県担当者との面談も必要だ。

奨学金関連推薦の例では人間総合科学大の病院奨学生推薦選抜は、学校長推薦に加え実習先(予定)病院が奨学金採用者決定をしていることも求められる。

長崎大の選抜では、長崎県内の学校を卒業(見込み)であることも出願要件だ。このように特定地域の学校出身者や居住者に出願を限定する推薦選抜は、特に公立大の推薦選抜では珍しくない。

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