EYE's Journal

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シリーズ53 令和3年度大学入学者選抜
Part.6 
総合型選抜の概要(2)
~実施大学拡大、選抜方法の多様化進む~

文: 田中 美代
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

前回、総合型選抜の概要(1)で紹介した ように、令和3年度入試よりAO入試は総合型選抜と名称が変更になり、選考で重視するポイントや選抜方法なども大きく変わっている。また新型コロナウイルス(以下「COVID-19」)の影響も大きく、感染症による高校の臨時休業の影響を考慮した配慮や、入試実施時期を含めた実施内容の見直しが各大学で進められている。感染拡大など今後の状況次第で、再度日程等が変更になる可能性もあるが、現時点での今年度の総合型入試の傾向を確認しておこう。

「総合型選抜の概要(1)~AO入試から何が変わったのか~」はこちら

WEB利用で
自宅等で受験できる選抜も

令和3年度入試では、推薦入試が「学校推薦入試」に変更になったことで、「自己推薦型入試」を総合型入試として扱う大学が増加。青山学院大学、法政大学、立教大学など今までAO入試を実施していなかった大学でも総合型選抜入試の導入が進んでいる。

令和3年度入試で目立つのは、出願や選抜におけるインターネットの利用だ。もともと出願はWEB出願を採用する大学が大部分を占めていたが、COVID-19の影響もあり、模擬講義や面接をWEBで実施する大学が増えている。

例えば広島大学文学部人文学科は、第1次選考が出願書類(自己推薦書)とオンラインによる口頭試問、第2次選考がオンラインによる面接、最終選考が大学入学共通テストと、大学に足を運ばずに受験可能。またWEB体験授業型入試を実施する東洋大学国際学部AO型推薦入試のように、自宅等で受験できるシステムを用意する大学も増えている。

国公立大では共通テスト利用、
私立大ではプレゼンテーション実施が増加

国公立大で目立つのが、大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)を利用する総合型選抜だ。学力検査が必須になったことで、令和3年度入試では従来実施されていた「共通テストを課さない」タイプの総合型選抜が大幅に減った。

ちなみに出願期間は9月15日からと定められているが、共通テストを利用する場合、合格発表が2月上~中旬になるため、出願開始を12月~1月とする大学も珍しくない。中には共通テストを第1次選抜とし、その後で面接や小論文などの第2次選抜を実施する(東北大学Ⅲ期、東京工業大学など)ところもある。一般選抜と同時期の選抜になるため、十分な準備が必要になろう。

一方私立大では、さまざまな選抜方法が行われている。一般的な小論文や面接に加えて、プレゼンテーションやグループワーク・グループディスカッションを実施する大学も多く、特に目立つのがプレゼンテーションの増加。面接や口頭試問の中で「5分程度のプレゼンテーションを行う」等と注記している大学もあり、自分の意見を述べたり自己アピールしたりする積極的な姿勢が問われるようだ。

各大学のHPで
最新情報をチェックしよう

COVID-19の影響で、今年は学校行事やその他の諸活動を積極的に行える状況にない。

文部科学省では受験生が不利益を被らないような配慮を要請しており、各大学でも特別な対応を検討・実施している。詳細は「令和3年度大学入学者選抜での新型コロナウイルス感染症対策に伴う各大学等の試験期日及び試験実施上の配慮等の対応状況について」にまとめてあるが、今後の変更の可能性もある。HP等で志望校の最新情報をこまめにチェックしておきたい。

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