全国の高校で実施されているキャリア教育の取り組みを紹介
第4回第4回
キャリア教育実践レポート
「産業社会と人間」 Part.1
東京都立晴海総合高等学校の実践例(1)
東京都立晴海総合高等学校 キャリアカウンセラー
千葉 吉裕先生
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「産業社会と人間」
カリキュラムの特徴
総合学科高校では「産業社会と人間」というキャリア教育が必履修科目になっていて、原則的に1学年でこの授業を行うことになっています。
総合学科は普通科などとは違い、2年生以上の学年では、生徒が自分のキャリアプランに拠って系列や科目を選択し、学んでいきます。そのためには事前に自分をよく理解し、将来を考える力をつけておく必要がある。つまり早い時期にキャリア教育を行うことが必須なのです。
この「産業社会と人間」は、教科書を使わず、自分の学校や生徒の実態に合わせてカリキュラムを作っていくのが特徴です。だから学校によって内容がまったく違います。
晴海総合高校では、この「産業社会と人間」のねらいを
「卒業後の進路や自分の生き方について考える」
「2年生からの『系列』および『科目』を選択する考え方や態度を養う」
「学ぶことの意義について理解を深める」
「学び方(Learning Skill)を学ぶ」
「社会の変化を踏まえ、未来社会でも個性を発揮することを考える」
の5つに絞り、それに沿ってカリキュラムを組んでいます(図表-(1))。
1年間の活動の流れは下の図(図表-(2)(3))のようになっています。まず前期は、周囲とコミュニケーションを取れるような環境作りから始めて、そのうえで人とのコミュニケーションがいかに大切かを実感させます。
次に自己理解を深めるための活動を数時間行い、それから班に分かれて職業や上級学校について調べます。そして9月に入るといよいよ科目選択を考え始めます。
後期は、それまでの授業で徐々に具体化してきた自分の将来設計や目標をより深めるために、職場訪問に行きます。年度末にはライフプランを組み立てて発表し、これで1年間を終えます。
この一連の授業を終えて、2年生になる頃には生徒たちの顔つきがすっかり変わってきます。晴海生らしく、しっかりとしたいい顔になる。毎年のことながら、その変化にはとても驚かされます。
次回は具体的な活動についてお話していきます。