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進路や学部・学科選びのポイントを、センセイ・センパイにインタビュー。シリーズ3 大学・短期大学17学問系統別、大学の先生に聞く「学部・学科選択のポイント2」

Part.3

Part.3
家政・生活科学

【学べること】家政学、生活科学、生活福祉、食物、服飾、住居、生活環境、美容、美学など

お茶の水女子大学
基幹研究院 自然科学系
大瀧 雅寛(おおたき・まさひろ) 教授
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
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進学先を検討する際、将来の目標や学びたいことを明らかにしたうえで、自分の希望にあった勉強・研究ができる進学先を探すことが重要だ。具体的に学部を検討してみると、同じ名称の学部はたくさんあり、大学によって学ぶ内容に特徴があることがわかる。では、どのような点に注目してこれらの学部を検討していけば良いだろうか。ここでは17の学問分野別に、大学の先生にインタビュー。自分にふさわしい学部を選択するコツ・ポイントについてアドバイスをもらった。

「人間にとっての環境、環境にとっての人間」という視点に立ち、自分の経験や具体的な問題の起こっている現場から発想し、研究を行う。

▲大瀧 雅寛 教授

お茶の水女子大学生活科学部人間・環境科学科では、わたしたちの生活をとりまく身近な課題に対し、理工学的アプローチから解決方法を探っています。

人間は、利便性、快適性、安全性などを追求し、身の回りの環境を常に変えてきました。食糧は豊富になり、暮らしは便利になり、病気が減り寿命も延びました。その反面、環境のあまりに大きく急速な変化に対して人間が適応できず、人類の存続にも影響する様々な問題も生じています。

このような問題に対応するため、多くの大学で環境関連の学部・学科が開設されていますが、その多くはまず技術が中心であり、もう一方の主体である人間、特にその身体についての視点はあまり顧みられてきませんでした。

これに対して本学科では、「人間にとっての環境、環境にとっての人間」という視点に立ち、自分の経験や具体的な問題の起こっている現場から発想し、そこから研究を行うことを基本としています。人間と環境の相互の働きかけを具体的に評価・設計・提案し、よりよい生活環境を創造するための研究と教育を行っています。

環境科学は、どんなことを学ぶのか

環境科学は本学科の基盤となるもので、人間が他の生物と同じく地球上の生き物であり、自然界の一員であることを認識しながらものを考える目を養うため、自然環境を対象とします。

科学技術によって変えることのできる身近な環境(意図的に変えられる環境)を学ぶ前に、人間の力が容易に及ばない自然環境(意図的に変えられない環境)について理解を深めておくことが重要です。

地球の気圏・地圏・水圏について、それぞれの構造、成分、物質循環などの一般的な知識を身につけ、公害など人間活動が自然環境に及ぼす影響(意図せず起こしてしまう影響)についても、過去の例を挙げて学んでいきます。

人間・環境科学科での教育の特色

人間・環境科学科の柱となる学問分野は、建築設計学、居住環境学、自然人類学、人体生理学、人間工学、福祉工学、環境機能材料学、環境化学、環境衛生工学など多岐にわたります。

4年間の勉学を通じて、科学技術の実践的な応用、生活関連分野のタイムリーなテーマへの取り組み、研究成果の社会での応用・評価などを学びます。

大学での学びがそのまま企業や官公庁での課題解決に結びつくものばかりではありませんが、身の回りのできごとを分析的に観察し、理論的かつ技術的な解決方法に結びつけるという本学科の方法論の真価は、卒業生に対する高い評価に表れています。卒業生は「生活関連分野の科学技術研究」という本学科の特徴から、生活関連民間企業、公務員など、理系分野を中心に幅広い領域で活躍しています。

さらに専門知識を深め専門知識を生かした分野で活躍することを念頭に、大学院進学も強く推奨しています。大学院では理工系分野でイノベーションを創出するリーダー育成に特化した教育プログラムも開始しました。

高校生へのアドバイス

自然科学の好きな人、人間と環境にかかわる基礎的な科学を十分に学び深く研究してみたい人、専門家として真に健康で豊かな生活を構築するために寄与したいと考えている人、身の回りの課題を理工学的なテーマとして研究してみたい人、また社会における科学技術のあり方に深い関心を持つ人に、ぜひ来ていただきたい分野です。

大学で学ぶにあたり、高等学校で理数系の基礎をしっかりと履修していることは大前提です。具体的には、数学は数学Ⅰ・Ⅱ・A・B、理科は物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物、地学基礎・地学のうち2科目以上を履修しておくべきでしょう。また数学Ⅲについても履修しておくことを望みます。

特にこの分野において、女性の感性が不可欠であることは疑いありません。皆さんの発想力を発揮していただければと思います。

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