おしえてセンセイ・センパイ!

進路や学部・学科選びのポイントを、センセイ・センパイにインタビュー。
シリーズ6 業界で活躍中のセンパイにきく

Part.20

アコガレ★JOBインタビュー season 4
Part.20 エンタメ(プレーヤー)業界

講談師

日本講談協会 真打
神田昌味(かんだ・まさみ)さん
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
公開:

世の中のさまざまな職業の中から、人気の業界で活躍している21職種の方々にインタビュー。それぞれの職業について、しごとの内容や、やりがい、面白さなどについて、語ってもらいました。「どんな人に向いているか」「なるにはどうすればいいか」など、これから進路を決めようとしている高校生に向けて紹介します。インタビュー動画も合わせてご覧ください。

日本講談協会副会長でもある神田昌味さん

17歳で講談に出会い、神田一門に弟子入り 
男が多数だった講談の世界に女性が入っていく

私は高校3年生の時、芝居に興味があったのですが、勉強のために落語とか浪曲にも興味を持ちました。夏休みに、新宿の寄席で神田山陽と後の姉弟子が牡丹灯籠(ぼたんどうろう)という怪談を掛け合いで演じていたのを見て、その演技にものすごい衝撃を受けて、この世界に興味を持ちました。どうしてもこの世界に入ってみたくなり、私は神田山陽(二代目)の弟子としてこの世界に入りました。

講談師は「釈台」(しゃくだい)と、その釈台を叩く「張り扇」、そして扇子や手拭いなどの小道具も使いながら、物語を活かす話芸を披露する仕事です。江戸時代のお話しをするイメージがありますが、近代史にちなんだものや、現代のものも含め、「物語を、小道具を使いながら、ト書き部分と人物の台詞も使って観衆に伝えていく芸」が講談です。

講談には神田、田辺、宝井、一龍斎など、様々な流派がありますが、私の師匠である神田山陽は女性の講談師を多く輩出したことでも有名です。私は1999年、真打(しんうち)に昇進し、今も寄席やイベントに呼ばれ、仕事をしております。

岐阜県在住ですが、寄席やイベント会場で講談をします
(画像は大江戸上野広小路亭)

下積み時代の苦労はプロの技術を修得するための場 
結婚・出産を経ても寄席やイベントに呼ばれる

やはり下積み時代は大変でした。この世界は師弟関係・上下関係がしっかりあって、前座の人たちは、高座や楽屋の清掃をするとか、お茶の準備もします。先輩たちの着物が運ばれてきたら、ハンガーにかけておくなど、やることがたくさんあります。また、普通の労働者ではないので給料もありません。だから自分でアルバイトをして生活費を稼がなければなりませんでした。

前座のときは、広い畳敷きの会場で、ラジオを聞きながら競馬新聞を読んでいる人がいて、聞いてもらおうと釈台を必至に叩いていると、「うるせえ」と怒られるときもあって、聞いてもらえないのが悔しくて、舞台袖でぽろぽろ涙が出てしまい、先輩からは「あなたの技術が足りないからだ」と叱られたこともあります。

それでもめげずに一生懸命にやっていくにつれ、ファンやお客さんがついてくれて、「昌味ちゃん」と名前を覚えてもらえるようになり、結婚・出産を経て今は岐阜の山中に住んでいますが、しばしばイベントに呼ばれ、みなさんが楽しみにしてくれているのがうれしいです。

大変だった下積み時代について語る神田昌味さん

こんな人に向いている!

講談をやってみたいと思ったら、迷うことはありません。この世界に入れるかどうかは運もありますが、めげずに、一生懸命、どんなことでも情熱をぶつけるべきです。そして続けること大切です。これはどんな世界でもそうですが、気持ちで負けない人が向いていると思います。

動画でインタビューを公開中です。
サムネイル画像をクリックすると動画が再生されます。
(音声が出ますのでご注意ください)

新着記事 New Articles