進路や学部・学科選びのポイントを、センセイ・センパイにインタビュー。
シリーズ4 業界で活躍中のセンパイにきく
アコガレ★JOBインタビュー season 2
Part.20 エンタメ(プレーヤー)業界
声楽家
上杉 麻子(うえすぎ・あさこ)さん
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世の中のさまざまな職業の中から、人気の業界で活躍している21名(21職種)にインタビュー。それぞれの職業について、しごとの内容や、やりがい、面白さなどについて、語ってもらいました。「どんな人に向いているか」「なるにはどうすればいいか」など、これから進路を決めようとしている高校生に向けて紹介します。インタビュー動画も合わせてご覧ください。
ベストなコンディションを維持して歌う
コンサートとボイストレーニング
私は声楽家をしています。声を楽しむ仕事です。声楽家としての仕事は、主にコンサートの出演、コーラス、ボイストレーニングの指導などを中心に行っています。
コンサートは出演依頼を受けるものと、自ら企画するものがあって、定期的に開かれるもの、スポット的に依頼されるもの、地方都市への出張を要するもの、会場も大小さまざまです。
コーラスは、オペラの舞台で出演者の一員となって合唱に参加します。また、文化庁の企画で声楽家が全国の小中学校で行う合唱にも参加するなど、近年は活動の幅も広がってきました。
ボイストレーニングは、一般の方々を対象に教えています。もっと声が出るようになりたいとか、歌がうまくなりたいなど、ニーズはいろいろありますが、私の生徒さんの場合、きちんとレッスンを受ければ、ほぼ全ての方がちゃんと声が出るようになります。歌に苦手意識を持っていた生徒さんが幸せそうに歌っているのを見ると嬉しいですね。
この他、歌とともにイベントの司会などを依頼されることもあります。
常に歌える状態に体調管理をして
仕事の幅を広げるように磨きをかける
歌い手は自分自身が楽器です。だから、いつも歌える状態にしておかなければいけません。
常に体調を整え、ベストなコンディションとパフォーマンスが要求される点はアスリートと似ていますね。
私はイタリア音楽を勉強してきましたが、歌うことを仕事として広げようとすると、より広いジャンルや言語の曲に対応する必要が出てきます。だから、常に腕を磨いておくべきなのですが、苦労します。
ただ、コンサートでは私ひとりに対し、何千人という出会いがありますので、努力すれば、歌うことによって人の心を動かせる実感が得られます。これは一度味わったらやめられません。
以前はよく「声が出なくなったらどうしよう」などということを考えては落ち込んでいましたが、歌い続けてきた中で「何かひとつを一生懸命磨くことは他のことにも応用できることだ」という自信がついてきました。今後はコンサートをしながら企画の仕事にも重点を置いていきたいですし、若手の育成もしていきたいと考えています。
声楽家も歌手も、継続していくことが大切です。私は歌を磨くことで人生のあらゆる困難に立ち向かうことができたと思います。
だから、好きな歌を磨きに磨いて、継続して歌っていくことのできる人はプロにもなれるし、他のことにもつぶしがきくものだと思います。アマチュアでもいいから、何が何でも続けていける人ですね。