東京の専門学校

都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材

20-1

第20回 vol.1
幼稚園教諭・保育士養成科
(前編)

東京教育専門学校
(東京都豊島区)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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全国から入学者を集める東京の専門学校にスポットをあて、教職員インタビューを通じてそのカキュラムに迫ります。
1996年に始まったとされる幼保一本化の議論ですが、明確な方向性が定まらないまま、2006年には認定こども園が法制化。幼稚園教諭や保育士の養成施設である学校の多くが、幼・保併修カリキュラムの編成に追われました。今回訪ねたのは、古くから卒業と同時に両資格が取得できる学校として知られていた東京教育専門学校(豊島区)。安西豪行校長と下岸幸子副校長が対応してくださいました。

――待機児童対策としても期待される幼保一本化ですが、「遅々として進まず」という印象を受けます。

安西  幼稚園は学校教育法に準拠して設立された教育施設であり、保育所は児童福祉法にもとづく福祉施設です。就学前の子どもを受け入れるという点は同じであっても、幼稚園は3歳以上で、保育所はゼロ歳から。施設や設備などの基準も異なるため、現状のままで両者に共通の機能を持たせようとしても、すんなりとはいかないというのが実情ではないでしょうか。

――2006年には認定こども園が法制化されました。

安西  生い立ちも性格も異なる幼稚園と保育所の壁を取り払うはずが、それがスムーズにいかないため、認定こども園という新しい制度が生まれたのだと認識しています。幼稚園や保育所はこれまで通り残して、新たな施設をつくるという、いわば折衷案。幼保一体化の本来的な趣旨とは少し違うような気がします。

――幼稚園教諭や保育士の養成施設である学校に、何か影響はありますか。

安西  依然として免許・資格が異なることですね。相変わらず、幼稚園に勤めるには幼稚園教諭の免許状が、保育所の場合は保育士資格が必要です。

認定こども園がスタートしたことで、養成施設である学校は、その両者が取得できるようにカリキュラムを改める必要が生じました。ここ数年で両者を取得できる学校が増えてきました。

――東京教育専門学校はそれ以前から両資格が取得できる学校でしたよね。

安西  もう40年ほど前から両資格に対応したカリキュラムを編成しています。

両資格の取得は東京教育専門学校の卒業条件ですから、全員、幼稚園教諭の免許状と保育士資格を持って卒業します。

――2年間で両方を取得するとなると、その分、カリキュラムがハードになるのではないでしょうか。

安西  どちらか一方に比べれば修得しなければいけない科目が増えるのは確かです。たとえば実習がそうです。幼稚園での教育実習、保育所実習、福祉施設での実習のすべてを履修しなければなりませんからね。

けれど、両者に通ずる共通科目も多いです。すべての学生が入学時点で将来の進路を明確にしているわけではないので、幼稚園教諭と保育士の両資格が卒業と同時に取得できるカリキュラムは、進路の幅を広げるメリットといえるのではないでしょうか。

下岸  実情に即して学ぶという意味でも、両資格の同時取得に向けたカリキュラムは有効だと考えています。

ご承知の通り、教員免許は幼稚園、小学校、中学・高校と、学校種別ごとに発給され、幼稚園の免許は幼稚園での実習となります。対して保育士資格は、保育所だけでなく、乳児院や児童養護施設、母子生活支援施設などでも求められる資格です。その分、保育所以外での実習も経験することになります。

現場に出向いて実習することで、教室で身につけた知識・技術がどこで生かされるのかがわかります。この先何を、どのように学ばなければいけないのかも見えてきます。本校では、資格の取得要件として規定された実習を、あえて分散させて、実習で学んだこと、感じたこと、迷ったことなどを踏まえて、学内で学び直したり深めたりできるようにカリキュラムを編成しています。

1年生の11月に幼稚園で、2月に保育所で、2年生では6月に2回目の幼稚園で、夏休み期間中に福祉施設で、そして11月に保育所または施設を選択して、全学生がすべての実習に携わります。

《つづく》

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