高等学校とキャリア教育

全国の高校で実施されているキャリア教育の取り組みを紹介

第18回

第18回
キャリア教育実践レポート
「静岡県のキャリア教育研究開発推進」Part.2
静岡県教育委員会 高校教育課に聞く(2)

インタビュー
静岡県教育委員会 高校教育課 指導主事
齊藤 寿子氏/松下 勝也氏
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
公開:
 更新:

進路指導主事を中心に
キャリア教育の浸透を図る

▲齊藤寿子氏(左)、松下勝也氏

それぞれの学校の実態に合わせ、今まで行われてきた“生徒の職業観を育てる”“自己の将来設計を考えさせる”ための指導を、あらためてキャリア教育という視点でみつめて取り組んでいこうとするとき、非常に重要なことは、すべての教員にキャリア教育の意義、在り方を理解していただくことだと思います。

静岡県では公立高等学校の進路指導主事研修会を毎年一度実施しているのですが、2004年度からはキャリア教育を前面に出して講演を行っています。また2005年度からは、キャリア教育という視点に立ったテーマで分科会も設けています。そうした場で、参加した教員にキャリア教育を十分に理解していただき、各学校でそれを広めていただくというのが我々の目的です。

もちろんそれだけでなく、たとえば初任者研修でもキャリア教育の話をしたり、私たちが各校を訪問したときにキャリア教育の取り組みについて協議するというようなことも行っています。

この「キャリア教育研究開発推進校」の指定は2007年度をもって終了します。この3年間の成果が明らかになるのはこれからだと思います。当初から推進校にはそれぞれの取り組みを他校に広く情報提供して欲しいとお願いし、ホームページで紹介していただいていますが、本県高等学校のキャリア教育の成果が出るのはこれからではないかと考えています。

実際、推進校の例を参考にしながらキャリア教育に取り組み始めた学校もすでに何校かありますし、今後も進路指導主事研修会でより詳しい取り組みを伝えていきながら、一層の推進をしていきたいと考えています。

普通科におけるキャリア教育の推進が
今後の課題のひとつ

最初にもお話したように、キャリア教育はどちらかというと専門高校においてはスムースに導入されるケースが多いのですが、普通科ではなかなか難しいということが言えます。そうした中にあって、進学校であるにもかかわらず非常に積極的にキャリア教育に取り組んでいる学校もあります。

その代表例が県立韮山高校です。ここでは平成16年度からキャリア教育の一環として、生徒の将来の進路をふまえて国立遺伝学研究所や病院、司法書士事務所などへのインターンシップも行っています。

このインターンシップは生徒に非常に好評で、アンケートでも「有意義だった」「コミュニケーション能力の重要性がわかった」「もっと勉強を頑張ってやろうと思った」などの声が寄せられています。

普通科については、ご存知のように、文部科学省はキャリア教育の在り方について具体的な検討を行うために「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」事業を設置しましたが、静岡県でもその研究推進校に県立熱海高等学校、県立浜北西高等学校、県立湖西高等学校の3校が指定されました。

この3校は今年度から3年間にわたって研究を実施します。その研究は普通科高校におけるキャリア教育を推進するというのが大きな柱ですが、さらに、高等学校卒業者や中退者の動向調査とその要因・背景の分析という課題もあります。

国のこうした取り組みや、県下でも有数の進学校である韮山高校の実例などによって、今後、普通科においてもキャリア教育が一層広がっていくことを、我々としては非常に期待し、注目しているところです。

韮山高校インターンシップ生徒アンケート結果

横スクロールしてご覧ください

新着記事 New Articles