進路や学部・学科選びのポイントを、センセイ・センパイにインタビュー。
シリーズ4 業界で活躍中のセンパイにきく
アコガレ★JOBインタビュー season 2
Part.18 美術・デザイン・マンガ・アニメ業界
アーティスト
坂本 紀恵(さかもと・のりえ)さん
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世の中のさまざまな職業の中から、人気の業界で活躍している21名(21職種)にインタビュー。それぞれの職業について、しごとの内容や、やりがい、面白さなどについて、語ってもらいました。「どんな人に向いているか」「なるにはどうすればいいか」など、これから進路を決めようとしている高校生に向けて紹介します。インタビュー動画も合わせてご覧ください。
世界遺産から大手企業まで
世界の建築物にアートを提供する
私は建築設計事務所で美術・制作の仕事をしています。建築そのものではなく、建築物のデザインや美術を担当しています。
大小さまざまな仕事をしてきましたが、代表的なところでは、世界遺産で有名な岩手県の中尊寺の休憩所の壁画、そしてKDDI本社社員食堂の壁画、マレーシアの旅博の展示会のブースで壁画と立体物を制作しました。
私はあくまで会社の従業員ですから、アート作品ばかりを作ればいいというわけではありません。社内では電話番や事務作業、建築の現場へ行って話を聞いてくるなど、事務所運営に関わるさまざまな仕事をこなしつつ、壁画などの作品は依頼されたときに制作しています。
こちらで働くようになったきっかけは、学生時代にこの事務所の1階スペースを使ったアートイベントの公募を知り、仲間と応募しました。そのときは空間をアートにするというコンセプトだったので、会場全体を作品にしました。それがきっかけにして仕事を依頼されるようになりました。当初はアルバイトでしたが、現在はフルタイムで仕事をしています。
建物のユーザーからの
「ここに行きたい」に感動
当事務所は、幼稚園や保育園などのクライアントが多く、校舎などの設計することが多々あります。
私は壁画を現地で描く場合もありますが、たいていは制作したものを納品することになります。幼稚園などで制作や設置作業をしている時に、入園を検討している親子が通り掛かり、子どもたちが私の壁画を見て、作者である私の目の前で「この絵、すごい!」、「絶対この幼稚園に行きたい!」と言ってくれた時は、本当に嬉しいですね。子どもたちは、まさにその建物のヘビーユーザーであり、お客様ですから、顧客満足度がすぐに測れてしまいます。
その一方で、やはり納期を守るのが大変です。私の仕事は建物ができてから、最後に入るものが多いため、他の工程が遅れると私が作業に入れる時期も遅れます。けれども納期は決まっているので、1週間あるはずの作業期間が3日に短縮されるようなこともしばしばです。
その短い期間で、どう作り上げるかが勝負なのです。まさに時間との戦いです。
美術を仕事にする場合、率直に言って、コミュニケーションが出来る人でないと難しいと思います。
絵を描くのは内面に向かう作業ですが、仕事となると「受け取る人」がでてきます。この、受け取る人のことを想像できることが重要で、自己満足になってはいけません。作品を使う人とコミュニケーションしながらの方が絶対に良いものができます。