EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

1-12

シリーズ1 教員を育てる
Part.12 
レポート⑦
多様な考え方や技術を集積しながら
授業づくりを研究(前編)

特定非営利活動法人「授業づくりネットワーク」
上條 晴夫 代表
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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特定非営利活動法人「授業づくりネットワーク」は、「異質なものの交流」を基本コンセプトに据え、授業づくりに関する研究活動や普及啓発活動を展開している。ここ2年は、学級崩壊に対処するため、「授業成立」に焦点を絞ったプロジェクトを推進し、注目を集めている。代表の上條晴夫氏に、授業づくりネットワークのめざすものや活動内容について話をうかがった。

「異質なものの交流」をコンセプトに活動を続ける

▲上條晴夫 代表

授業づくりネットワークは、大学の研究者などを中心とした教育科学研究会の「授業づくり部会」として1986年から活動を開始した。

この部会には小学校・中学校・高校の教員も多数参加している。1996年には独立した組織として新たな道を歩み始め、現在に至っている。この間、一貫して「異質なものの交流」をコンセプトとして活動を続けてきた。部会発足直後から活動に参加し、現在は同ネットワークの代表を務める上條晴夫氏は次のように話す。

「教育分野では、何かのテーマについて同じ考えを持つ人たちがグループをつくり、研究活動を進めていくというスタイルが一般的です。しかし、授業づくりネットワークの母体である授業づくり部会は、いろいろな考え方、いろいろな技術があるだろうから、それぞれの横の交流を図り、お互いに学び合いましょう、という発想で出発しました。これは当時としては画期的なことで、現在でもほぼ同様のことがいえます」

異質なものの交流を実現するため、授業づくりネットワークは固定的な組織で活動するのではなく、関心を持つ人が自由に参加できる形態になっている。

「組織的に見ると、授業づくりネットワークの中心になる『会員』がいますが、会員だけで活動するわけではありません。たとえば、テーマごとにメールマガジンを出して、その内容に関心を持った人は会員にならなくても活動に参加することができます。

2004年度までの例でいうと、作文、メディアリテラシー、総合学習などテーマごとにメールマガジンを同時並行で出していて、それぞれ1000人から3000人ぐらい読者登録がありました。同時に、メーリングリスト(メールを利用した電子会議室のようなもの)で研究会も行っていました」

会員は当初、小学校教員が7割ぐらいを占めていたが、現在では小学校教員5割、中学校教員2割、高校教員・大学教員・その他の教育関係者が3割という構成になっている。活動の参加者も、小学校・中学校・高校の教員はもちろん、養護教諭、大学教員、研究者、日本語教育従事者、行政関係者など幅広い。

誰でも研究会への出席や
月刊雑誌への投稿ができるしくみ

現在、授業づくりネットワークの活動には3つの柱がある。それは、年4回の大きな研究会、教育雑誌の発行、通年で行っているプロジェクトだ。

「私たちは、異質なものの交流をコンセプトにしているので、活動内容も何らかの交流が図れるものになっています。たとえば、月刊で『授業づくりネットワーク』という雑誌を発行していますが、これは誰でも自由に投稿することができます。

いわゆる機関誌は、会員向けに会の内部の情報を提供するスタイルが多いのですが、この雑誌は会員だけを対象にするのではなく、一般の人にも読んでもらうことを前提にしています。そのため、全国の主要な書店に置いてもらって、誰でも購入できるようにしています」

研究会は、春は関東地区、夏は全国各地(全国大会)、秋は関西地区、冬は北海道地区で開催。日程は、春だけ1日で、ほかは2日かけて行う。テーマや講座の内容は、春の研究会と夏の全国大会は本部が決めるが、秋と冬の研究会は各地区が主体となって考えていく。

《Part.13 後編へつづく》

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