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4-3シリーズ4 専門学校とAO入試
Part.3
愛知県の対応
明確な基準を設けAO入試を導入
青木 誠 事務局長
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愛知県専修学校各種学校連合会(愛専各)は、2008年度入試から専門学校でAO入試を実施する方針を固めた。高校側にも高進研等進路関係団体に実施説明をすでに行っており、6月1日から正式にスタートする。AO入試実施に至る経緯や実施方法の概要などについて、愛専各の青木誠事務局長に話をうかがった。
統一した枠組みを設けて
6月からAO入試を開始
愛知県専修学校各種学校連合会(愛専各)は、2008年度入試から専門学校にAO入試を導入する計画だ。すでに会員校には文書で通達済みで、6月1日からスタートする。
愛専各ではこれまで、専門学校のAO入試を禁止していた。それが一転してAO入試導入に踏み切ることになった経緯について、愛専各の青木事務局長は次のように説明する。
「昨年、会員校のうち4校ほどAO入試を独自に実施したところがありました。全国各地に学校を設置しているところだったのですが、他地域でAO入試を実施しているのに愛知県だけ実施しないというのは不都合だったのでしょう。愛専各としては禁止していたので、それらの学校には注意をしました。
ただ、ほかの会員校でもAO入試を実施したいというところがたくさん出てきていました。それで検討した結果、愛専各として統一した枠組みをつくって、きちんとしたかたちで実施しようということになったのです」
志願者減少傾向のなかで
AO入試を求める声が
会員校がAO入試を望むようになった背景の1つに、学生募集を巡って大学との競合が目立つようになったことがある。
「愛知県における2006年度新規高卒者の進学率は専門学校14.4%(全国平均18.4%)、大学48.0%(全国平均42.0%)と全国的にも大学への進学率が高い地域になっています。
2007年度入試でも、高校生が4年制大学に流れる傾向があり、専門学校は全体的に志願者が減っています。学ぶ内容が大学と競合しやすい分野は厳しかったようです。とくに工業系の大学などは専門学校化が進んでいます。専門学校の特徴だった実践的な学科を大学でも次々に設置するようになっていますからね」
そういう状況のなかで、大学はAO入試を実施するところがますます増えている。専門学校としても、座してそれを見ているだけでなくAO入試を本格的に実施したいと考えるのは当然の帰結かもしれない。
内定後は課題提出を課すなど高校側の懸念に配慮
愛専各で示しているAO入試の実施概要は次のようなものだ。
・登録開始(エントリー等)は6月1日以降。
・内定通知を出すのは8月1日以降。
・願書受付開始は10月1日以降。
上記の各段階でどのようなことを行うのかなどについては、明確な運用基準をまとめているという。さらに、高校生が自分の判断だけで登録することを防いだり、内定後に学習面のフォローをするしくみも設けている。
「登録書類には、担任の先生か保護者の確認署名を求めるようにしています。それによって、高校生が勝手に登録して先生や保護者は知らなかったというような事態を防ぎたいと思います。それから、内定後の対応も重要です。とくに高校の先生方は、早い時期に内定して学習に身が入らなくなることを心配されていますから、内定者に対しては各専門学校が継続的に課題を課すことにしています」
校長会などで事前に説明し理解を得る
愛専各では、AO入試の導入について、高校側に趣旨や実施方法などを説明した経緯を次のように話す。
「県の公立高等学校長会進学指導部会や高等学校進路指導研究会には、事前に説明にうかがいました。先生方の反応としては『いいこととはいえないけれど、時代の流れもあるので仕方ないでしょうね』といった感じでしたが、おおむねご理解をいただけました」
愛専各は、初年度からAO入試を軌道に乗せるべく、各高校および高校生に周知を図っていく計画だ。