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18-1シリーズ18 学ぶ内容を知る
Part.1
学部長に聞く
実生活、実社会で役立つ『コミュニケーション学』
川浦 康至(かわうら・やすゆき)教授
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「コミュニケーション学」と聞いて明確にイメージできる人は、少なくないのではないだろうか。コミュニケーション学部では何を学ぶのか、そして、それが生活や社会でどう役立つのかを、東京経済大学コミュニケーション学部長の川浦康至教授に伺った。
コミュニケーション学は総合学問
コミュニケーション学は、様々な学問から成る総合学問です。したがって、心理学、社会学、文化人類学、ジャーナリズムなど、周辺領域の学問を、多岐にわたり学びます。
コミュニケーション学で扱う基本の柱は2つ。1つ目の柱は「伝えるコミュニケーション」。新聞やテレビ、あるいは、インターネットや携帯電話など、メディアの特徴や歴史を主に学びます。また、対人コミュニケーションや異文化コミュニケーションなど、コミュニケーションと名のつくものについて学ぶことも含まれます。
もう1つの柱は「伝わるコミュニケーション」。これは、周囲のコトやモノを「コミュニケーション」として捉えることから生まれる学びです。例えば、お寺には病を抱える人が、像のその部分を撫でると、その病が治るとされる「撫で仏」があります。たくさんの人に撫でられた仏像は、当然すり減ります。その仏像を「コミュニケーション」という観点から見ると、健康を願うたくさんの人が見えてくる。「悩んでいる人はあなただけではないよ」ということが伝わってきます。こうした見方や考え方を学ぶことが、「伝わるコミュニケーション」を学ぶことです。
社会に出てからも活かせるスキル
私の専門である社会心理学は、データをとり、それをもとに語る実証学問です。データを取る方法には、アンケートや観察などがありますが、私のゼミではインタビューを基本に研究していきます。
例えば、「人の名前」をテーマにインタビューをすると、「名前」を介して、相手に対する興味や関心が湧き、質問したり、説明されたりと、コミュニケーションが生まれる。つまり、インタビューという「伝えるコミュニケーション」によって、名前が「伝わるコミュニケーション」としてはたらく。そうした作業を通じて、コミュニケーションスキルを磨いていくわけです。インタビューの内容は、最終的に文字にする必要がありますから、記録の作り方や文章の書き方など、表現スキルも身に付きます。
こうした経験を通じて、学生たちは、少しずつ成長していきます。学ぶことに対して積極的になり、物の見方が多面的になる。それが、自分の感じ方や考え方の多様性につながり、人との関係を築くスキルアップにもつながる。就職先は、銀行、メーカー、広告制作、公務員など千差万別ですが、いかなる職に就こうとも、人との関わりは避けられませんので、コミュニケーション学部での学びは必ず活きます。
関心や興味が学問の対象になる
コミュニケーション学の魅力を学生に質問したら、次のような答えが返ってきました。「フレキシブルなところ。つまり、自分の関心や興味が、そのまま学問の対象になるところ」。このことは、卒論や卒業制作のテーマを見ると一目瞭然です。「AKB48」、「K-POP」、「SNS」など、時代を反映したテーマがたくさん並んでいます。
メディアが多様化するにつれて、コミュニケーションは爆発的に広がり、コミュニケーションの「量」も絶対的に増えています。しかし、そのなかで、「本来の」コミュニケーションは一体どれほどあるでしょうか。私には届かないコミュニケーションが増えているようにしか見えないのです。
現代は、コミュニケーション危機の時代だといっても過言ではありません。そんな時代だからこそ、理論的にコミュニケーションを学び、コミュニケーションスキルを身につけることは、現代社会を生きぬく力にもなっていくはずです。
●東京経済大学
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