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19-2シリーズ19 看護師への進路を考える2 ~治療と回復を助ける専門職~
Part.2
看護学科 学科長インタビュー
新たな教育理念と教育方法で
自分で考え行動できる看護師を育成
自分で考え行動できる看護師を育成
肥後 幸江(ひご・さちえ)副学校長
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戸田中央看護専門学校は、埼玉県を中心に首都圏に多数の医療保健施設を運営する戸田中央医科グループと連携して、数多くの看護師を送り出し地域社会に貢献してきた。平成26年度からは新たな教育理念を掲げ、より時代に即した看護師育成を進める。育成方針、教育理念、教育方法の特色などについて肥後幸江副学校長に話を伺った。
新たな教育理念として
「礼」「知」「技」を掲げる
時代とともに看護教育も変化しているが、戸田中央看護専門学校はどのように看護師を育成しようとしているのか。肥後副学校長は次のように話す。
「自分で考えて行動できる看護師を育てることがすごく大切だと思っています。それを実現するために教育理念や教育方法を見直し、新たなチャレンジをしていこうと考えています」
同校では2年課程1クラスが平成25年度で終了し、平成26年度からは3年課程3クラス(現在は2クラス)の体制に移行する。それもあって平成26年度からの新たな教育理念を掲げている。
「新しい教育理念として『礼』『知』『技』の3つを掲げました。『礼』は躾や医療に携わる人間としての道徳、倫理を教えたいということです。『知』は知恵です。知識を詰め込むだけでなく、その知識を知恵として活用できるように育てたい。『技』はしっかりとした看護技術のことです。この3本柱で教育を進めていきます」
教育方法も、自分で考え行動することにつながるものを重視している。
「教科書に頼るだけでなく、学生みんなで調べ、考え、わからないところは教員が教えるようにします。私の授業では、患者さんの事例を簡潔に提示して、学生に看護プランを立ててもらっています。学生は症状について調べ、どういう看護がいいか考えるのです。もちろん私だけでなく各教員が工夫して新しい授業を展開していきます」
コミュニケーション能力を育てることに力を入れているのも特色の1つ。
「本校では『人間関係論』という科目を開設しています。これは実習室で学生が輪になってディスカッションするもので、1年次に14回行っています」
病院グループとの連携により恵まれた環境で臨地実習ができるのも強みだ。
「戸田中央医科グループの複数の病院施設で臨地実習を行うことができます。やがて看護師として入職する学生なので、実習先ではとても熱心に指導してくださいます。学校側も学生6人ずつのグループに教員がついて、きめ細かく指導しています」
臨地実習の成果を高めるケーススタディ発表会
臨地実習の成果を高めるため同校ではケーススタディ発表会を行っている。
「3年前期の実習のあと、学生は実習を通じて学んだことを文章にまとめ、10月に発表します。これによって考え方や課題が整理でき、後期の実習の成果が高まるのです。優秀な発表は県内の専門学校が行う学生学会に提出し、選ばれると学校代表として発表します」 学生は卒業後、グループ内に就職するが、同校では1人ひとりの学生に合った就職支援をしている。
「同じ医療でも、急性期、慢性期、リハビリなどで違いがあるので、学生の希望を尊重しながら、その人に合った選択ができるようにアドバイスしています。県立大学などに編入学してさらにスキルアップしてからグループ内に就職する人もいます」
新しい教育理念と教育方法で看護師を育成していく同校。現在でも北海道から沖縄まで日本各地から学生が入学しているが、これまで以上に注目されることになりそうだ。
●戸田中央看護専門学校
〒335-0023 埼玉県戸田市本町1-8-6
TEL. 048-441-4279