EYE's Journal

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41-1

シリーズ41 保育士・幼稚園教諭への道
Part.1 
保育士・幼稚園教諭の現状
保育ニーズや教育の変化に対応
こども園増加で活躍の場が拡大

編集部
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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保育士、幼稚園教諭は、高校生に根強い人気があり、社会的な役割も大きい。ただ、少子化、待機児童問題、認定こども園の増加、さらには教育全体の転換期など、取り巻く環境は変化を続けている。そこで、保育士、幼稚園教諭の実情、進学先、免許状・資格の取得方法などについて、2回に分けて検証する。第1回目は、仕事内容、保育所・幼稚園の現状、認定こども園などについてみていく。

女性就業率高まり、待機児童は増加 
生涯教育のスタート部分を担う

保育士は、児童の保育や保護者に対する保育の指導を行う。職場は保育所が中心だが、それ以外の児童福祉施設でも活躍できるのが特色の1つだ。

保育所の保育士は通常、年齢別のクラスで子どもたちの保育を行う。0歳の乳児や2歳までの低年齢児の場合、保育士の仕事は授乳や食事、オムツ替え、遊び、午睡、体調管理などが中心で、子どもたちに基本的な生活習慣を身につけさせていく。

この0歳児から2歳児までの保育は幼稚園教諭の仕事にはないもので、これも保育士の特色といえる。

3歳児から5歳児は、教育的な要素が多くなる。そもそも「保育」は「養護」と「教育」から成り立つもので、教育内容は厚生労働省の保育所保育指針に示された「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域(幼稚園教育要領とほぼ同じ)で構成される。保育士は、指針に沿って、年齢に応じた生活習慣を身につけさせるとともに造形活動、リズム遊び、運動などを通じて子どもたちの心身の発達をうながす。

保育所以外の児童福祉施設のなかでは、児童養護施設で働く保育士が多い。入所型の場合、保育士は3交替制や住み込みで子どもたちと生活を共にしながら発達を支援していく。

保育所の設置数は、厚生労働省の調査によると、最近の5年間はやや減少傾向で推移し、2017年は2万3,410施設(2015年からは従来型の保育所と保育所型認定こども園を含む数値)になっている。

ただ、2015年以降に幼保連携型認定こども園が急増していることもあって、保育所としての機能を備えた施設全体は増加している。

保育所・幼稚園・認定こども園の設置数
  保育所 幼稚園 認定こども園
2013年 24,038 13,043 1,099
2014年 24,425 12,905 1,360
2015年 23,533 11,674 2,836
2016年 23,447 11,252 4,001
2017年 23,410 10,878 5,081

*厚生労働省、文部科学省、内閣府の調査資料から作成。
注1:保育所は2015年から保育所型認定こども園を含めている。
注2:幼稚園は2015年から幼保連携型認定こども園を含めていない。

一方で、待機児童数の最近5年間の推移をみると、2014年にやや減少したが、それ以外はやや増加する傾向が続いている。

保育所としての機能を備えた施設が増加しているにもかかわらず待機児童数が増加しているのは、女性の就業率が年々高まっているからだ。このため、少子化のなかにあっても、保育および保育士のニーズは増大している。

待機児童数
  待機児童数
2013年 22,741
2014年 21,371
2015年 23,167
2016年 23,553
2017年 26,081

*厚生労働省の調査資料から作成。

幼稚園教諭は、幼稚園などにおける就学前教育を担っている。

幼稚園の教育内容は、文部科学省の幼稚園教育要領で示されている「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域で構成されている。幼稚園教諭は、この5領域にかかわる活動や遊びなどを通して子どもたちの心身の発達をうながし、自主性や社会性なども育てる。

幼稚園教諭は通常、年少・年中・年長と分かれた3学年(3年保育の場合)のうち、いずれかの学年の1クラスを担任する。

具体的な保育は、子どもたちをどのように育てていくかという方針を基に、各種行事なども織り込んで年間計画を作成するところから始まる。その計画に基づいて、月案や週案などを立案し、保育を進めていく。

日々の保育は、4時間ぐらいが標準的。この間の「主活動」の時間に、制作、音楽、リズム遊び、運動などの活動を行い、心身の発達につなげていく。運動会や発表会などの企画、運営なども重要な仕事の1つ。

なお、幼稚園は学校教育法に「幼児を保育」(抜粋)と定められていることからもうかがえるように、幼稚園教諭の仕事は保育士の仕事と共通する部分も多い。

幼稚園の設置数は、文部科学省の調査によると、最近5年間でかなり減少している。ただ、これは統計の取り方が2015年から変わり、幼保連携型認定こども園を含めない数値になったことにもよる。

その幼保連携型認定こども園は、同年から急増しているが、幼稚園から移行した施設が含まれ、新規開設もあって、同期間の幼稚園の減少数を上回る増加数になっている。したがって、幼稚園としての機能を備えた施設全体はむしろ増加している。

また、設置数の増減とは別に、新学習指導要領が順次実施され、大学入試制度も変わるなど教育自体が転換期を迎えているため、生涯教育のスタート部分を担う幼稚園教諭の役割はより重要になってきている。

認定こども園の設置数が急増 
保育教諭の経過措置を再検討

進学の先にある就職を考えると、いまでは「認定こども園」を視野に入れておくことが欠かせない。

内閣府の調査によると、2012年に909施設だったものが2015年から急増し、2017年には5081施設で5倍以上になっている。

認定こども園には、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地域裁量型という4つのタイプがある。

幼保連携型は2015年に制度改正があり、当初の幼稚園と保育所が連携するものではなく、幼稚園的機能と保育所的機能をあわせ持つ単一の施設となった。幼稚園型は幼稚園に保育所的機能をプラスするもの。保育所型は保育所に幼稚園的機能をプラスするもの。地方裁量型は幼稚園・保育所の認可のない施設が自治体独自の制度などによって認定こども園の機能を果たすもの。

このうち、設置数が多いのは幼保連携型で、約7割を占めている。この幼保連携型は、前述の制度改正によって教育・保育を担う職員は「保育教諭」と位置づけられた。そして、保育教諭は、幼稚園教諭の免許状と保育士の資格をあわせ持つことが条件とされている。

ただ、2015年度から5年間については経過措置が設けられた。その1つは2019年度まではどちらかの免許・資格があれば保育教諭として勤務できるというもの。在職者の免許状・資格の追加取得についても経過措置があり、取得しやすいしくみになっている。

また、今年度から、現在の経過措置をどうするか、つまり当初計画どおりにするのか、延長など何らかの新たな対応を行うのかといった観点で検討が始まった。

このように、幼稚園教諭、保育士を取り巻く環境は変化を続けているため、実情をよく理解したうえで進学を考えていくことが重要になる。

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