EYE's Journal

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シリーズ41 保育士・幼稚園教諭への道
Part.2 
保育士・幼稚園教諭になる方法
養成校に進み資格・免許状を取得
こども園も視野に入れ進路選択を

編集部
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:

保育士になるには資格が、幼稚園教諭になるには免許状が必要になる。今回は、それぞれの資格・免許状を取得する方法と高校からの進学ルート、養成校になっている教育機関ごとの特色、幼保連携型認定こども園の「保育教諭」まで視野に入れた進路選びなどについて探ってみた。

大学は保育を深く学ぶことが可能 
専門学校は実践力を重視して指導

保育士の資格を取得する方法は、①高校卒業後、大学、短期大学、専門学校などの指定保育士養成施設に進学する方法、②各都道府県が実施する保育士試験に合格する方法に大別される。

資格取得後の条件などはどちらも同じだが、高校生の場合は①の養成施設が進学ルートになる。この養成施設は厚生労働大臣が指定するもので、大学・短期大学も、学校や学科の設置は文部科学省の管轄だが、養成施設になるには厚生労働大臣の指定を受けることが必要だ。

どの養成施設でも、所定の単位を修得すれば、卒業と同時に保育士の資格を取得できる。ただ、実際に「保育士」になるには登録が必要で、卒業したのち各都道府県が備える登録簿に登録すると保育士登録証が交付され「保育士」になれる。

また、①とは別に、養成施設の指定を受けていない専門学校で資格を取得する方法もある、これは短大併修制度と呼ばれるもので、専門学校で学びながら、養成施設として指定されている短大の通信教育課程で学ぶもの。こちらも、卒業(短大の課程も修了)と同時に資格を取得することができる。

養成施設では、保育の本質や目的を理解するために「社会福祉」「児童福祉」「保育原理」など、保育の対象(子ども)を理解するために「発達心理学」「教育心理学」「小児保健」「小児栄養」などの理論を学ぶとともに、厚生労働省が保育所保育指針で定めている5領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」について、そのねらいや具体的な指導方法を学ぶ。

同時に、「音楽」「図画工作」「体育」の実技力をしっかり身につけ保育に活かせるようにしていく。たとえば音楽なら、保育所では必須といえるピアノを充分な時間をかけて練習し、弾き歌いなどもできるようにする。

こうした内容自体は、どの養成施設も同じだが、それぞれの教育機関ごとの特色もある。

大学の場合は、保育士として必要な専門知識、技術・技能を学ぶことはもちろん、それをより深めたり、関連のある領域や、学生それぞれが関心を持つ領域などを幅広く学ぶこともできるのが特色といえる。3年次か4年次にはゼミに所属し、保育に関するテーマについて、文献調査、データ収集、フィールドワークなどを行ったうえで論文にまとめるなど研究活動に取り組むことも多い。

また、ほとんどの大学は、幼稚園教諭免許(一種)を同時に取得できるカリキュラムを組んでいる。

卒業後の進路は、保育士(あるいいは幼稚園教諭)が大半だが、なかには学問として保育を学び、その知識を企業などで活かしたいという学生もいて、子ども服・子ども用品のメーカーなどに就職するケースもある。各大学では、そうした学生向けのキャリア支援も行っている。

専門学校の場合は、保育所などで即戦力として活躍できるように、より実践的な指導に力を入れているのが特色だ。たとえば、絵本の読み聞かせ方、折り紙などの制作の仕方、手遊び、パネルを使った遊び、リトミック(リズム運動)など、保育の現場でそのまま使える技術・技能をしっかり学べるようになっている。

また、専門学校に入学する学生はほぼ全員が「保育士になる」という同じ目標を持っているため、その目標に向かって、学生同士で助け合ったり刺激し合う環境のなかで学んでいくことになる。

2年間で保育士資格を取得して保育所などに就職できるのもメリットの1つ。同時に大学に進学した人よりも2年早く保育士になれるので、大学に進んだ人が保育士になるときには、すでに現場で2年のキャリアを積んでいることになる。

なお、専門学校にも幼稚園教諭の養成機関として指定されているところがあり(後述)、その場合は2年間で幼稚園教諭免許状(二種)も同時に取得できる。幼稚園教諭免許状の短大併修制度(後述)がある専門学校の場合も同様だ。

大学卒業と同時に一種免許状を取得 
二種免許状を取得できる専門学校も

幼稚園教諭の免許状には、①普通免許状、②臨時免許状があり、普通免許状には、専修免許状、一種免許状、二種免許状の3種類がある。

普通免許状の種類ごとの取得方法は、①専修免許状:大学院で所定の単位を修得して修士課程を修了、②一種免許状:大学で所定の単位を修得して卒業、③二種免許状:短期大学、あるいは専門学校など文部科学省が指定する養成機関で所定の単位を修得して卒業、となっている。高校からの進学ルートという意味では②か③の方法になる。

③の養成機関として指定されている専門学校は、2017年4月1日現在で全国に27校あり、短大と同様に2年間、その学校で学ぶことで免許状を取得できる。

また、③とは別に、二種免許状を取得できる専門学校も全国に数多くある。これは、専門学校の保育科などで学びながら、幼稚園教諭の養成施設になっている短大の通信教育課程を併修するもので、専門学校卒業(短大の課程も修了)と同時に免許状を取得することが可能だ。

大学では幼児教育を深く学び、
保育士資格や小学校教諭免許状も同時取得

大学の場合は、教育の基礎的理解のために「教育原理」「教育学概論」「教育心理学」「発達心理学」「教育社会学」などを学ぶとともに、文部科学省の幼稚園教育要領に定める5領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」(内容は保育所保育指針とほぼ同じ)について、そのねらいや具体的な指導方法を学んでいく。併せて「音楽」「図画工作」「体育」などの実技能力も高めていく。

保育士の場合と同様に、大学では幼児教育をより深く学んだり、関連のある学問領域などを幅広く学べるのが特色といえる。また、ほとんどの大学では、保育士資格を同時に取得できるカリキュラムや、小学校教諭免許状(一種)を同時に取得できるカリキュラムになっている。

養成機関に指定されている専門学校は、保育士の場合と同様に、幼児教育にかかわる理論などをしっかり身につけることに加えて、現場でそのまま役立つような内容をより多く取り入れるなど、実践力を重視した指導に力を入れている。

保育教諭は両方の資格・免許状が必要 
目標に沿って自分に適した進路選択を

ここまで保育士、幼稚園教諭それぞれについてみてきたが、実際の進学ルートとしては重なっている部分も多い。とくに大学の場合は、保育士と幼稚園教諭の養成は一体的に進めているところがほとんど。ただ、どちらかだけをめざしたり、資格・免許状は取得しないことを前提にした科目履修ができるところもある。

進路を考えるうえでは、幼保連携型の認定こども園が急増していることも視野に入れておきたい。幼保連携型では、制度改正によって教育・保育を担う職員は「保育教諭」と位置づけられ、保育教諭は保育士の資格と幼稚園教諭の免許状を併せ持つことが条件とされているからだ。

ただ、2015年度から5年間の経過措置があり、どちらかの資格・免許状があれば保育教諭として勤務でき、在職者の資格・免許状の追加取得もしやすくなっている。その経過措置について、延長など何らかの対応を行うのか検討が進められているが、どうなるかは未確定だ。

したがって、両方の資格・免許状を取得できるところに進学すれば、就職時に職場の選択肢を広げることにつながる。もちろん、どちらかの資格・免許状に絞りたい場合は、それに向けて集中して学んでいけばいい。いずれにしても、まず目標を明確にして、そのうえで自分に適した学校を選ぶことが大切だ。

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