都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材
2-2第2回 vol.2
ショップビジネス学科
(後編)
(東京都渋谷区)
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カリキュラムや資格取得を通して
「来店客」の目線から「オーナー」の目線へ
――将来の独立開業を夢見て入学している学生が多くなるのではないでしょうか。
体験入学や相談会などを通じて、すでに多数の入学希望の高校生に会いました。確かに、「将来は自分の店を持ちたい」と思っている人が多いですね。そういった高校生にとって、ショップビジネスというネーミングは魅力的なのでしょう。
けれど、まだ高校生です。よくよく話をしてみると、具体的なイメージが出来上がっているわけではなく、「おしゃれな洋服のお店を持ちたい」とか、「小さなアクセサリーショップを開きたい」といったレベルがほとんどです。
新しい店舗を開くにあたっては、商品計画にはじまって、コンセプト作り、立地、仕入れ……それに開業資金など、さまざまな問題をクリアしなければなりません。お気に入りの店を訪ねて、「素敵だな」とか「うらやましい」などと思うのは、まだ来店者の目でしか見ていないから。その目をオーナーの目に変えないといけないわけです。
ショップビジネス学科で学んでいくうちに、きっとそういった目が養われると確信します。その上で、卒業していきなりは難しくても、就職して業界内でのネットワークをつくっていけば、夢の実現は決して不可能ではないはずです。
――在学中に資格は取得できますか。
TSBはビジネス学校ですから、企業からのニーズが高い簿記や文書、マナー、情報処理関連の資格や検定についてはひと通り取得できるようにカリキュラムを組み、1年修了時には10種以上の資格を取得することができます。
すべての専攻で「色彩士」の資格取得をめざすほか、雑貨ショップビジネス専攻では「販売士」、ファッションビジネス専攻は「ファッション販売能力検定」と「販売士」、そしてショッププランナーが「インテリアコーディネーター」の専門の資格取得に向けて、力を入れて取り組んでいきます。
街にはファッションやアクセサリーの専門ショップ、書店、カフェ、コスメを売る薬局など、高校生にも身近な店舗があふれています。「自分の店を開きたい」と思う高校生も少なくないことでしょう。
今回取材したショップビジネス学科は、そういった生徒、なかでも行動をともなう学習を得意とするタイプの生徒に、ぜひ知ってもらいたい学科でした。学校内のスペースを利用したショップ経営や、東京という地理的条件を活かしたフィールドワークは、大学の経営学部や商学部ではよほど恵まれないと得られない体験です。
学びの対象として店舗を見つめて、はじめて分かることは少なくないはずです。陳列商品のラインナップ、店内のレイアウトや照明、客への応対など、ショップごとの個性には常に経営者の理念が見え隠れします。そのことに気づくなら、学ばなければならない知識、身につけなければならないスキルが見えてくるに違いありません。
2006年5月に施行されたいわゆる「新会社法」によって、それまで株式会社が1,000万円、有限会社が300万円と規定されていた最低資本金の規定が撤廃されました。同時に会社設立にともなう手続きが簡素化されたことは、店舗設立を考えるに事業主にとって、法人経営を手軽にしたという意味で朗報といえるでしょう。
もちろん、ショップビジネス学科を卒業したからといって、すぐに店舗経営に乗り出せるわけではなく、多くの卒業生が既存のショップや会社に就職することでしょう。厚生労働省調査による2006年8月期の産業別就業者数を見ると、「卸売・小売業」は製造業に次いで多く、1千万人を超えています。小売業は、日本の労働市場を支え続ける重要な受け皿でもあるのです。