東京の専門学校

都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材

3-2

第3回 vol.2
サッカーエキスパート学科
(後編)

アクト情報スポーツ保育専門学校
(東京都北区)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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サッカー以外のスキルも幅広く取得

――サッカーコーチ以外の資格も取れるのですか。

もちろん取れます。幼児教育の実践者に欠かせないキャンプインストラクターやレクリエーションインストラクター、それにスキー検定3級や健康運動実践指導者の資格が取得できるようにカリキュラムしています。併せて、資格には直接結びつきませんが、テーピングやマッサージなど、将来の職務の遂行に備える授業も開講しています。

また、運動系の資格ばかりではなく、ビジネス能力検定、日商簿記、販売士のほか、マイクロソフトのベンダー資格にも対応。このうち、ワードやエクセルの資格については全員合格の実績を誇っています。

サッカーエキスパート学科は、サッカーが大好きで将来にわたってサッカーにかかわっていたいと思う若者に、社会人としてのスキルを習得してもらうための学科です。現代社会に欠かせない情報処理などの技能は、当然、身につけてもらわなければなりません。

サッカーはあくまでカリキュラムの核。「スポーツ心理学」や「運動測定評価」などの理論面の授業もしっかり履修してもらうことになります。

――インターンシップの機会もあるそうですね。

実際の職場に勝る職業教育の機会はありませんからね。1年次の11月に、将来の進路に近い企業や団体にお願いして、2週間のインターンシップを受け入れていただいています。

そのうちのひとつは三菱養和サッカースクールです。浦和レッズが母体の、子ども向けサッカースクールといえば、どんなところか想像してもらえるのではないでしょうか。こういったところで、学生は現場におけるコーチングや体育指導のあり方を目の当たりにしてくるわけです。

――何人くらいの入学者を受け入れる予定ですか。

当面は30人くらいを考えています。ただ、最近では「なでしこジャパン」の活躍もあって、サッカーは男子に限ったスポーツではなくなってきました。

サッカーエキスパート学科にもレディースサッカーコースを設けます。ぜひ、全国のサッカー好きの女子にも入学してもらいたいと思っています。

――学内のクラブ活動も盛んなのですよね。

サッカー部については、2003年に発足してわずか2年で東京都専門学校リーグの1部に昇格し、東京都選抜チーム入りを果たす複数の選手を輩出しました。入学後も活動を続けていこうという学生のバックアップ体制も万全だと自負しています。

「サッカーエキスパート学科」の時間割(横スクロールしてご覧ください)

Reporter's NOTE(サッカーエキスパート学科)

1個のボールと広場があればできてしまうサッカーは、野球よりもずっと手軽で、特に男の子の間では人気の高いスポーツです。けれど、今からふた昔ほど前まで、夢を聞かれて「サッカー選手!」と応える少年はほとんいないのが実情でした。まだ、サッカーにプロが存在しなかったからです。

Jリーグが発足して以降、同リーグを頂点とするピラミッドが築かれました。高校のサッカー部も、ピラミッドの一画を担っています。正月恒例の全国高校サッカー選手権大会は、Jリーグをつくった日本サッカー協会の主催。毎年多くの逸材が発掘され、Jリーグに迎えられます。また、高校入学前の生徒や児童は、中学の部活動や地域のクラブで鍛えられます。最近では、サッカーをカリキュラムに組み込む幼稚園も少なくありません。

日本サッカー協会(JFA)は選手と同様に指導者のピラミッドを築き、同協会による公認制度を設けました。JFA公認のコーチになるには、各都道府県のサッカー協会が主催する講習を受けなければなりません。

しかし、講習を受ける機会には限りがあります。東京の場合だとD級が年20回程度、C級は8回程度の実施で、受講できるのはD級で600人、C級では300人にも満たないのが実情です。

今回取材したサッカーエキスパート学科は、このJFAが設けたコーチのピラミッドの中に指定席を確保したわけです。その意味では画期的で、今後のスポーツ系学科の方向性を示唆した学科といえるのではないでしょうか。

Jリーグの発足は1992年。2007年で15年目を迎えます。つまり、これから高校に入学してくる生徒は、生まれたときからプロサッカーを見聞きした世代であるわけです。この先、進路指導の席で、幼いころから親しんできたサッカーと将来を結びつけるような相談が、増えるかもしれません。

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