高等学校とキャリア教育

全国の高校で実施されているキャリア教育の取り組みを紹介

第20回

第20回
キャリア教育実践レポート
「静岡県のキャリア教育研究開発推進」Part.4
静岡県立静岡農業高等学校の
実践レポート(2)

インタビュー
静岡農業高等学校「夢・未来塾」参加生徒に聞く
MSさん、AMさん、ASさん
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
公開:
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2006年度の「農業高校生 夢・未来塾」に参加した3年生、3人にお話を伺いました。

――「農業高校生 夢・未来塾」への参加を決めたのは何故ですか?

MSさん 僕は将来、農業をやりたいと考えているので、そのために何か役立つことが体験できるのではないかと思って参加しました。実際に参加して、いろいろな方たちの話から今の農業の最先端がどういうものなのか見えてきたので、すごく良かったと思いました。

AMさん 私は先生から声をかけてもらって参加しました。タイトルに“夢”という文字が入っていたので期待していったのですが、実際に参加してみたら農業だけでなく農業を取り囲むいろいろな仕事の人たちの話を聞くことができたので、自分の夢の実現を考える上でも参考になりました。たとえば、自分の将来について夢を持ったら、その夢を実現させるためには一人で頑張るだけでなくいろいろな人に助けてもらうことが大切なんだということがわかったし、周囲にいい人脈ができた後もそういう人たちにどういうふうに力を貸してもらえばいいのかがわかったような気がします。

ASさん 私は家が農家なので「農業=土」というイメージがありました。でも高橋さんの農場で水を使ってアメーラトマトを作っているのをみて、農業の新しい可能性を見たような気がして、すごく新鮮でした。自分は将来、農業とは別のことをしていきたいと思っていますが、でも高橋さんの話やこの学校で学んだことで人は大勢の人と関わっていくからこそ出来ることがあるんだと知って、とても勉強になりました。将来は人のためになるようなこと、人と関わっていけるような仕事をしていきたいと思っています。

――MSさんは「夢・未来塾」で学んだことを生かして、どんなことをやっていこうと考えているのですか?

MS 高橋さんの農場ではとてもこだわってトマトを作っているという話を聞きました。でも家で今やっているのはあまり特徴がないので、いつか僕も高橋さんみたいに他の人はやっていないことにチャレンジして、新しいものを作ってみたいと思いました。

――そういう話をご両親にしたとき、どんなふうに言われましたか?

MS 僕は高橋さんから「何か付加価値をつける作物作りをやっていくことが大切」と教えてもらったので、家でそういう話をしました。両親はそれを聞いて、自分でも何かそういうことができるようにしっかり勉強してこいと励まされました。

――この学校で学んだことの中で、一番自分の人生に役立ったと思うのはどんなことですか?

AM 学校の実習の授業では、自分の体を動かして自分の手で作物を作っていくということを通して、普通科の高校では学べないことが学べたと思います。たとえばたくさんの人とも触れ合えたし、野菜や花とも触れ合えました。そして仲間と協力しあう大切さを学んだし。それから自分が何かをしないと植物は育たないので、自分がどうすればいい野菜やきれいな花に育ってくれるのかということを、一所懸命に考えることが大切なんだということがわかりました。

AS 私も仲間と協力しあうことの大切さを学んだことが一番大きかったと思います。実習などは自分ひとりでは出来ない、みんなでやらないとうまくやれないことも多かったので。それから勉強に関しても、私は中学のときは勉強をあまり熱心ではなかったんですけど、高校に来てからは友だちと刺激しあって、お互いの力を高めていくことができたと感じています。

MS 僕も人とのつながりがとても大事だと学んだことが一番役に立ったと思います。学校ではいろいろな作業の中でそのことを学びましたけど、そういうことは社会に出てからも同じように大切なんじゃないかと思います。

――では、3年間の授業の中で一番楽しかったことは何ですか?

AS 私は1年のときにスイカの栽培です。自分で一から作物を育てることはすごく楽しいんだなと思いました。朝早くから観察に行くのは大変だったけど、毎日積み重ねるうちにとても充実した気持ちになりました。最後に収穫したときはすごく重くて。お店で売っているのを買ったときとは違う重さを感じました。

MS 僕は実習が一番楽しかったです。今は「お茶」を専攻していて、毎週仲間と一緒に校外農場に行っているんですけど、そこで仲間と一緒に作業をするのはとても楽しいです。それに今まで知らなかった知識もたくさんつけることができて、面白かったです。

AM 私は「花」を専攻しています。その中で販売実習があって、自分で種から育てた花を街の人に売りに行きます。その時に「農業高校の花は質もいいし、安いし、いいね」と言ってもらえて。そういうふうに信頼されていることがとても嬉しくなります。特に自分が作った花なので。そういう体験ができたことが楽しかったです。

――最後に将来の希望を聞かせてください。

MS 僕は高校を卒業したあと農学部のある大学に進学して、農業高校で学んだことをもっと発展させて、最終的にはお茶農家である家の仕事を継ぎたいと思っています。

AM 私は公務員になりたいと思っています。この学校では地域との交流がたくさんできたので、ここで学んだ経験を生かして、みんなに喜んでもらえるような仕事をしていきたいと思っています。

AS 私も公務員になりたいと思っています。これからも同じ目標を持っている友だちと刺激し合い、励まし合って、試験まで頑張りたいと思っています。

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