高等学校とキャリア教育

全国の高校で実施されているキャリア教育の取り組みを紹介

第69回

第69回
中高一貫校のキャリア教育実践レポート Part.1
西武台高等学校・西武台新座中学校
「グローバル社会を見据えた教育活動を実践
進学意識を向上させ、進学校への転換を図る」

インタビュー
学校法人 武陽学園
西武台高等学校・西武台新座中学校(埼玉県新座市)
進路指導部主任・入試担当 
榊 義宏 先生
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
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たくましい人間力を育成する教育、部活動の全国的活躍でも知られる西武台高校。創立36年だが、2012年に西武台新座中学校を開設し、中高一貫教育へ踏み出した。中学2コース制・高校4コース制のもと、グローバル教育やICT教育を強化。また模擬授業ガイダンスや進路ガイダンス等で進学意識を高め実績も伸ばしている。同校の榊進路指導主任に、進路指導・キャリア教育の取り組みを伺った。

グローバル時代の人間力育成へ
中高一貫教育に踏み出し5年目

▲榊 義宏 先生

西武台高等学校は学園創立36年を迎えた、全日制普通科の男女共学校です。埼玉県新座市の豊かな自然に囲まれた学園で、校訓は「若き日に豊かに知性を磨き美しく心情を養いたくましく身体を鍛えよ」です。

2012年(平成23年)には時代の要請と共に学園の発展を期して、隣接する校地に西武台新座中学校を創設。グローバル社会に対応し、世界へ羽ばたいて活躍できる「たくましい人間力」を育成しようと、本校は中高一貫校へ歩みを進めました。中高とも「国際感覚を身に付けて、自ら考え、主体的に行動できる生徒」を理想像に掲げています。

西武台新座中学校では、最難関国立大学・私立大学を目指す「特進選抜クラス」と、G-MARCH以上の難関国立大・私立大を目指す「特進クラス」の2つのクラスを設置。特に英語教育とICT教育に力を入れているのが特徴です。

例えば英語は発音・発声指導を強化して使える英語力を高めながら、大学受験にも役立つ長文読解力(応用)も養成。「アクティブラーニング」では主体的なグループ学習ができるSACLA(スタジオ型教室)を活用。LAN環境や一人1台のiPadを使ってプレゼンテーション力なども磨いています。

さらに中学の集大成として、3月に中学3年生全員参加の2週間にわたる「オーストラリア人間力研修」も行っています。全員がホームステイし、学校では1対1のバディ制のもとに学びます。国際感覚とコミュニケーション力を培うことで顔つきも変わり、高校への助走となっています。

高校は4つのコース制で、充実した授業と課外学習も

西武台高校では、学力を伸ばし生徒一人ひとりの夢を実現化するため、4コース制(中学からの内部進学生の2コースを含めると、計6コース)を採用しています。

「特進S」コースは、早い段階から進路意識を高める学力及び進路に関わる学習に力点を置き、国公立大学・難関私立大学に現役で合格することが目標です。国公立大学に必要なセンター試験5教科7(8)科目などに対応できるカリキュラム編成が特徴で、特に週4回の7時間授業と週6日制(土曜日は4時間)を導入し、公立校にはない授業総数38時間を確保。校外学習やプレゼンテーションなどコース独自のプログラムも用意しています。

「選抜Ⅰ」コースは成績上位層をG-MARCHランクの私立大学へ現役で合格することを目標とするコースです。文武両道を掲げ、放課後のクラブ活動と両立ができ、課外講座なども活用することで充実した高校生活を送ることができます。 「選抜Ⅱ」コースは、日東駒専ランクの私立大学を第一希望とし、現役で合格することを目標とするコース。「授業でわかる」をモットーに確かな基礎学力に習得を図り、放課後はクラブ活動や補習などを自主的に選択することができます。

選抜Ⅰと選抜Ⅱは、2年次までは、ほぼ文理共通カリキュムにあえて変更。生徒は幅広い知識を身に付けた上で最終進路目標を決定し、3年次でおもいっきり選択科目、演習に取り組んで行けます。単なる私立型入試にはとらわれない体制にしました。

「進学」コースは、進学、就職等の幅広い選択肢の中から、自らの生き方に沿った夢の実現を目標とするコースです。在学中に資格を取得するなど、個人の適性や能力を伸ばします。推薦入試など、多種多様な受験に対応し、幅広い生徒のニーズに応えることができます。

興味関心に応じて選択できる
大学模擬授業などを実施

本校は、中高ともに進路指導やキャリア教育にも力を注いでいます。西武台新座中学校では将来を見据えて職業や学問を調べたりするほか、「西武台アカデミア」や「教養講座」では研究者や企業の第一人者を招いて知的好奇心や学問・職業への興味を喚起。他に芸術鑑賞、修学旅行等の行事で社会の見聞を広めています。

高校では進路指導も3年間を見通して計画的に行っています。1年次には「学習習慣リサーチ」や「進路調査」を実施し、その結果をもとに面談を行います。また進路講演や模試の分析会・進路別ガイダンスを行い、進路に対する意識を高めています。2年次には文系と理系に分かれますが、分野別ガイダンス・オープンキャンパスガイダンス、大学出張講義、模試等の分析会で、より良い進路選択ができるよう企画を推進しています。

大学出張講義では、1・2学年の希望者を対象とした模擬授業ガイダンスを実施。これは三者面談週間の時間を活用し、午後に60分授業として多彩な出張講義を実施。生徒の興味が高い分野の大学・専門学校25校の先生を依頼し模擬授業をしていただいています。

例えば法学系なら「身の回りの法律」、経営系なら「売れるアイドルのブランド戦略」、体育系なら「スポーツバイオメカニクス」、美容系学校なら「カット実習」、看護系なら「包帯法」など生徒に身近なテーマを設定。興味関心から講義選択し、進学・職業意識を醸成しています。

3年次には進路実現に向けて、生徒や担任の先生方に情報を提供し、よりよい選択がきるようバックアップの充実を図っています。また埼玉スーパーアリーナにおいては約130校の大学・短大・専門学校を招いた進路講演・進路ガイダンスを実施。毎日の進路個別相談に応じる体制を整えている。他にも指定校・公募制推薦、AO入試ガイダンス、進路特別講座、一般入試直前ガイダンスなど多岐にわたる入試に対応できる進路指導を行っています。

また夏期講習・冬期講習・春期講習を実施しているほか、専門学校・就職希望の生徒にもガイダンスや就職指導にも力を注いでいます。その結果、希望者の就職率は26年連続で100%を維持しています。平成27年度進路の内訳は、大学進学6割、専門学校進学3割、その他就職1割という割合です。平成28年度入試は東京学芸大学・埼玉大学・千葉大学の合格者が出たほか、早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学・東京理科大学等の合格者が出ており、他にも中堅以上の大学合格率が飛躍的に伸びています。

部活動も活発で施設も充実
内部進学者の実績が飛躍のカギ

本校は部活動も活発でサッカー部は全国大会出場実績も10回を超えるほか、柔道部も団体戦・個人戦で実績が高く、陸上部なども優秀な選手が育っています。バトン部は2013年にアメリカで行われたミスダンスドリルチームインターナショナルUSAに出場、全国大会にも13年連続出場など輝かしい成績を残しています。施設・設備も生徒会館カフェテリア、一般のグラウンドに人工芝グラウンド・体育館競技場などが充実し、文武両道が実践できる環境です。

今後も1年次から高い目標を持たせ、生徒の志望や適性・個性に合った選択ができるよう進路実現に結び付ける指導を徹底したいと思います。また、大学入試改革の動きに合わせ、発信力・発言力を高めていくことも課題で、高大連携による体験授業なども充実させて、ワンランク上の志望校を意識させたいと思います。

中学校一期生が2016年4月段階でようやく高校2年に上がったわけで、内部進学の生徒が実績を挙げることが当面の目標です。それにより中学からの志願者・生徒が増えれば、校内はさらに活性化するでしょう。真に生きる力を持った生徒を世界に羽ばたかせたいと思っています。

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